霊源院 概要
名称 | 霊源院(れいげんいん) | 山号 | ー |
御本尊 | 薬師如来 | 宗派 | 臨済宗建仁寺派 |
勧請開山 | 龍山徳見 (りゅうさんとくけん) | 創建 | 一庵一麟 (いちあんいちりん) |
所在地 | 京都市東山区大和大路四条下ル小松町594 | ||
最寄りの公共交通機関 | 京阪電車 祇園四条/清水五条駅 → 徒歩13分 阪急電車 河原町駅 → 徒歩15分 京都市営バス 清水道 → 徒歩5分 | ||
甘露庭 特別拝観 受付時間 | 10:00 -15:30 (16:00閉門) | 拝観料(特別拝観期間) | 大人:500円 中高生:300円 |
・長期間、仏像体内で守られていたため、非常に綺麗な毘沙門天立像
・直接見られる仏舎利
霊源院への道のり。
禅居庵以外は訪れたことがなかった、建仁寺と建仁寺の塔頭寺院。気になりながらもタイミングを逃し続けていたのですが、建仁寺塔頭の霊源院で「甘茶の庭 『 甘露庭 』 特別公開」が行われている、ということで伺ってまいりました。
今回、私は建仁寺の境内を抜けて向かったのですが、建仁寺の境内では霊源院へ看板などの道案内を見つけることが出来ず、少しわかりにくいなぁ…と。目印になりそうなのは、建仁寺の浴室。この浴室の横(イメージとしては、建仁寺の一番端)のなだらかな坂道を上がって行き、特別公開の看板にしたがって右折、といった感じでしょうか?
霊源院の前の通りへは建仁寺の境内から向かうことも可能ですが、摩利支尊天の看板がある禅居庵や建仁寺の勅使門が面する、八坂通からも向かうことが出来ます。
いざっ!霊源院内部へ。
霊源院の門を潜るとすぐ、本堂の入り口があります。
入り口を上がり拝観料を支払い、拝観用のチケットを頂きます。観光寺院ではないため、こちらの入り口で受付・お茶券の販売〜御朱印や授与品などの取り扱いまで全て行われていて、非常に混雑していました。
室内に入るとすぐ、左手に写経スペースがありました。そしてその奥に掛け軸と寺宝の一双の屏風が2つと中巖圓月坐像が。掛け軸→屏風→中巖圓月坐像の順番でガイドの方の説明を聞きました。
他にも一休さんの掛け軸やお饅頭からの塩瀬総本家さんや塩芳軒さんのお話なども伺いましたが、忘れてしまいました…。
説明を聞いたあと、順番に毘沙門天像の水晶を覗かせて頂くことに。もちろん、ガラスケース越しで覗いたのですが、肌色っぽいものがポツンと見えました。
東寺の五重塔、東寺から分けたと言われる鹿苑寺の金閣舎利殿(金閣寺)、泉涌寺の舎利殿には喉の部分と、意外とあちこちにあると言われている仏舎利ですが、実際に目で見たのは今回が初めて。貴重な体験をさせていただきました。
ネット上で見られる、霊源院の毘沙門天像。
古い記事なのでいつ削除されてしまうかわかりませんが、霊源院の中巌円月坐像(重要文化財)と胎内仏の毘沙門天立像についての記事を見つけました。(なぜか四国新聞の記事です…。)
こちらは小学館の雑誌のサイト。
※霊源院では拝観時、仏像・寺宝の撮影は禁止されています(室内の撮影は可と現地で伺いました)。
茶室 也足軒で甘茶をいただきました。
お庭を見ている方々が多くいらした為に、先に甘茶を頂きました。(甘茶席は別途500円)
一畳台目とは別にあるお茶室。こちら、別棟建てにはなっていませんが、也足軒と額が掲げられています。室内でにじって入るお茶室というのは非常に珍しいなぁ…と思いながら入室し、券を渡して甘茶を頂いてまいりました。
壁ににじり口だけを作るだけではなく、上部も違い引き戸にしてあるので開放感があり、四畳半よりも広く感じました。
他の方のお茶が終わられて、私一人というタイミングだった為に一番お庭が見える位置へ案内して頂きました。咲き誇るかの様に甘茶が咲いていてとても綺麗…でしたが、ベストであろう角度には他の方が写り込んでしまう程、この日は多くの方が訪れていました。
室内の床の間のしつらえ。達磨さんのお軸、香炉、中国の故事が描かれてそうな細かな螺鈿細工が施された香炉台(花器台)、今年の干支の犬は香箱でしょうか?お扇子を読む前に、お茶が運ばれて来ました。
こちらの也足軒で頂いたのは、毘沙門天像の前でお伺いしていた塩芳軒さんのお菓子と甘茶。和三盆の中に大徳寺納豆が入ったものと、毘沙門天の毘の字が入れられたお干菓子。甘茶は煎茶用の茶器(金属製の茶托とおちょこサイズの湯のみ)で頂きました。
お運びをしてくださった女性に「煎茶用の茶器を使われていましたが、煎茶道のお点前には甘茶のお点前もあるのでしょうか?」とお伺いしたところ、「甘茶の流派やお点前はございません。ごく稀にですが、甘茶を飲みすぎると中毒症状を起こすことがあるのでこの量でお出ししているのですが、少なかったでしょうか?」とのお返事。
とても美味しかったのでもう少し頂きたい!と思ったのは間違いないのですが、中毒症状が出ることがあるとは全く知らず。今まで花祭りでいただていた甘茶はどれだけ薄かったんだ!と思ったほどに味・香り共に濃い甘茶なので、ちょっと物足りない位のこの量が一度に飲む適量なのでしょう。
甘茶を頂こうとする方も多く、私が飲み終わる頃には席が空くのを待っている方がいらっしゃる程でした。
改めて「甘露庭」を拝見。
霊源院の甘露庭、今回の特別拝観ではお庭に降りることは不可、室内からの甘茶鑑賞です。
石塔が何基かあるのは見えたのですが、今が盛りと花開く甘茶と青々と茂る新緑に埋もれていました。
境内の南西に広がり、本堂から眺める事ができる枯山水庭園。仏陀釈尊の生誕から入滅までを表現している庭です。甘茶がたくさん植えられ、花梨の植栽や松も配されています。
出典:霊源院 公式サイト-霊源院について–
今回、庭についての説明をあまり聞かなかったように思うのですが、庭の形だけではなくそこに咲く花や木まで含めて、生誕から入滅までを表現されたお庭なのでしょうか?そうならば、甘茶が咲き乱れるこの季節は、釈迦の誕生を表している、ということになります。
枯山水を瑞々しいと言うのは何だかおかしな気もしますが、それくらい所狭しと咲く甘茶と甘茶に負けない周囲の木々。生命力を感じるお庭でした。
甘茶とは…?
ところで。「甘茶」というお茶の存在を知っていても、
・甘茶の木を見たことがない
・知っているけれど飲んだことがない
という人も多いのではないでしょうか? そもそも甘茶とはどんなものでしょう?
①日本特産のユキノシタ科の落葉低木。ヤマアジサイの変種。
②アマチャ・アマチャヅルの葉を蒸してもみ,乾燥したものを煎(せん)じた飲料。黄褐色で甘みが強く,食品の甘味料ともする。
霊源院があじさいで有名なお寺と説明されているのを見かけたことがあるのですが、甘茶がヤマアジサイの変種であれば、そっくりでも間違ってしまっても仕方がない気がします。
そして、甘茶≒花まつりという人も多いのではないでしょうか? 私も子供の頃に地元の観音堂で毎年いただいていたので、甘茶は花まるちに飲むもの、と思っていました。
灌仏会(かんぶつえ)は、釈迦の誕生を祝う仏教行事である。日本では原則として毎年4月8日に行われる。釈迦(ゴータマ・シッダッタ)が旧暦4月8日に生誕した伝承に基づいている。降誕会(ごうたんえ)、仏生会(ぶっしょうえ)、浴仏会(よくぶつえ)、龍華会(りゅうげえ)、花会式(はなえしき)、花祭(はなまつり)の別名もある。
(…中略…)
日本では、様々な草花で飾った花御堂の中で、甘茶を満たした灌仏桶の中央へ安置した誕生仏像に柄杓で甘茶を掛けて祝うが、釈迦生誕時に産湯を使わせるために9つの竜が天から清浄の水を注いだとの伝説に由来する。釈迦を本仏としない日蓮正宗等を除く大多数の寺院で執り行われて参拝者にも甘茶がふるまわれ、甘茶で習字すれば上達するとの願掛けや害虫除けのまじないを作るなどする。
出典:wikipedia-灌仏会
そんな仏教とのつながりの深い甘茶の木で埋め尽くされた庭。拝観中、その庭を黙々と手入れしている方がいらっしゃいました。本当に、「黙々と」という言葉通り、ひたすらに手入れをされている姿が印象的でした。
霊源院で頂いた御朱印
今回霊源院で頂いたのは、2種類。毘沙門天+初夏と書かれたものが通常のスタイル(の初夏バージョン)の様で、白い和紙に書かれたものと金と銀が混じった用紙に書かれたものの2種類が用意されていました。この毘沙門天の朱印と毘沙門天の墨書き、奉拝の文字が入ったものが300円。
そして、甘茶の花と布袋様に弥勒菩薩と書かれたもの、こちらはこの甘露の庭公開のタイミングの御朱印なのでしょう。この布袋様は山門辺りにいらっしゃいました。この他に背景に甘茶や達磨、一休禅師等の印刷がされた和紙にそれぞれに合った墨書きが書かれた御朱印が6種類、こちらは400円でした。
全て書き置きでの対応ですが、年に数回の特別公開の時にだけ拝観出来る寺院なので、どの御朱印を頂いたとしても、貴重な御朱印となりそうです。
帰宅後に気が付いたのですが、弥勒菩薩様にはお会いしなかったような気がします。次回のタイミングで弥勒菩薩様に御目通りしなければ…と。
特別拝観の期間以外は、団体で事前予約しなければ入ることが出来ない、霊源院。
仏舎利を直接見ることができる、というだけでも本当に貴重な機会です。特別拝観は公式サイトやFacebookページ、Twitterで告知されています。
「由緒書きや縁起などはありませんか?」とお伺いしたところ、「扱いがないので、ネットを見てください」とのお返事、意外にもネット参照推奨の霊源院でした。
建仁寺周辺に訪れる前には、甘茶の開花シーズンではなくとも公式サイトやSNSをチェックして、画像や画面越しではない仏舎利を見てみてください。
※同じ臨済宗のお寺で東福寺の塔頭寺院にも、霊源院というお寺があります。今回の甘露の庭の特別拝観が行われているのは、建仁寺の塔頭寺院の霊源院です。ルート検索の際は十分ご注意ください。
このあと、同じ建仁寺塔頭の両足院の特別公開へ向かいました。
霊源院 2023年5月27日 蛍の放生会
お庭を枯山水に改修されて以降、是非伺おう…と思っていた、霊源院さん。以前より頻繁に公開されている気がしますが、夜に開門し蛍の放生会をされると知り、「夜はまたとないこと」と伺ってまいりました。
到着した時点で既に多くの人で賑わい、残念ながら枯山水の正面は人が動く気配もなく…みなさま居座っていらっしゃっいました。そんな中、お寺の方も途中で散水をしたりと蛍を光らせようとしてくださり、遠目からでも甘茶の木の間を蛍が飛んでいる様子を目にすることが出来ました。開門時間が2時間限りと短かったので入れ替え制にすることも難しそうだと思い、甘茶と寅屋さんの最中をいただき帰路へ。
霊源院さんで新たにもらった御朱印2種
今回も多くの御朱印が用意されており迷ったのですが、蛍の放生会の御朱印と甘茶の時期限定と言われた御朱印をいただいてまいりました。
夜間に蛍ということもあり室内の照明が落とされていて、毘沙門天などの仏像は拝見することが出来なかったのですが、お寺で蛍を愛でるという貴重な体験をさせていただきました。
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