・#ナムいの元祖!?
・アイドル好きさんにもオススメなお寺。→ドローン仏発祥のお寺へ。
龍岸寺 概要
名称 | 龍岸寺(りゅうがんじ) | 山号 | 三哲山 |
中尊 | 阿弥陀如来 | 脇侍/安置仏 | 左脇侍/観音菩薩 右脇侍/勢至菩薩 |
開基 | 三哲 | 宗派 | 浄土宗 |
所在地 | 京都市下京区塩小路通大宮東入八条坊門町564 | ||
最寄りの公共交通機関 | JR各線 京都駅 → 徒歩約10分 京都市営バス 七条大宮・京都水族館前 → 徒歩約5分 | ||
拝観時間等 | 通常非公開 | 拝観料(通常) | ー |
イベント多めの龍岸寺
八月に前を通りかかった時、その掲示板の言葉に思わず写真を撮った、龍岸寺。この時は山門に柵がされていた為、掲示板の撮影だけで通り過ぎました。
後々この時の掲示板は公益財団法人仏教伝道協会が主催する「輝け!お寺の掲示板大賞2018」の「まいてら賞」を受賞しました。
そんな龍岸寺で超十夜祭が行われている、ということで、慌てて訪れた龍岸寺。山門に掛けられた幕には龍岸寺が所属する浄土宗の宗紋の月影杏葉が染められていました。山門横の掲示板に書かれていたのは、「物欲を忘れて 仏欲を抱こう」の言葉。短い言葉ですが、流石!と思わせる言葉の選び方。説法をされる方は違うな、と言うのは、どこのお寺の掲示板を見ても思うことです。
超十夜祭って何?
さて。今回一月以上に渡って行われている、超十夜祭。超十夜祭って何?という謎は、龍岸寺の公式サイトで説明されていました。
10月から11月にかけて天台宗、浄土宗、時宗などのお寺でつとめられる「十夜法要(じゅうやほうよう)」。浄土宗においては、後土御門(ごつちみかど)天皇からの勅許をいただいて始まったという由緒ある法要なのですが、「彼岸」「お盆」などの仏教行事ほどメジャーではなく、法要を執り行ってもどうも参列者の数が伸び悩んでいました。
だけど、お参りにうってつけの「仏欲の秋」に行われる行事で、背景にある物語も魅力的(詳しく浄土宗のホームページなどを見てください)ので、フェス化して盛り上げることでリバイバルできないか、というのが十夜祭のスタート地点です。
龍岸寺では、2015年から3年間、他の京都市内のお寺と協力しながら、十夜法要の伝統にインスピレーションを受けた「十夜フェス」を実施してまいりました。本年は、さらなるインスピレーションを求めて独立し、「超十夜祭(ちょうじゅうやさい)」として展開します。
出典:龍岸寺公式サイト-超十夜祭–
確かに、「お盆」「お彼岸」のように全宗派で行われているわけではない「十夜法要(じゅうやほうよう)」は、余り耳にすることはありません。私も過去何度か聞いたことがある、程度。では、「十夜法要(じゅうやほうよう)」とはどんな法要なのでしょう?
10月から11月にかけて全国の浄土宗寺院でひろく行われる 念仏会 (ねんぶつえ) です。「お十夜」「十夜法要」「十夜講」「十夜念仏」などともいい、正しくは、「十日 十夜 (じゅうや) 法要」といいます。もともとは陰暦の10月5日の夜から15日の朝まで、10日10夜にわたる 法会 (ほうえ) でした。
この法会は、浄土宗で最も大切な経典(きょうてん)の一つ『 無量寿経 (むりょうじゅきょう) 』の巻下に、 「この世において十日十夜の間善行を行うことは、仏の国で千年間善行をすることよりも尊い」と説かれていることによって、その教えを実践したもので、10日10夜にわたり 不断 (ふだん) 念仏を称えて 別時 (べつじ) の念仏を修し、阿弥陀さまのお慈悲に感謝する法要であります。
出典:浄土宗公式サイト-十夜法要–
もともとは10日間連続で行われていたというこの法要。なかなか奥が深い様ですが、私の知る限りでは大々的に参加希望者を募って法要を行なっているお寺は、私の知る限りではありません。
今回行われた龍岸寺の超十夜祭は期間中の週末、ライブパフォーマンスをメインとした、様々なイベントが行われていました。
実は山門を潜る前から何かしらの音楽が流れているなぁ…と思わせる程度の音漏れがしていた今回、私が訪れた日は本堂でmarquee≠night 21(マーキーナイト 21)というライブイベントと、境内で阿弥陀如来立像 ライブ彫刻が行われていました。
とりあえず、本堂周辺。本堂の正面では手売りの物販がされていたため、正面からの写真は撮れず。蟇股の大きな龍が印象的です。蟇股としての役割よりも、造形としての龍かと思われます。
境内には、今回のイベントTシャツを来た人や、アイドルを見に来たのであろう方々。純粋にお詣りに…という人は少ない印象でした。
私も今回は本堂内のライブは観戦せず、本堂前の端っこから手を合わせさせて頂きました。出演アイドルなどのTwitterから見受けられる本堂内の仏様方は、なかなか煌びやか。釈迦モーニングにでもこっそり伺おう、と思う次第です。
超十夜祭で行われていた、ライブ彫刻
超十夜祭の期間中、龍岸寺では様々な企画が行われていますが、私が訪れたこの日は、ライブイベントの他に境内で仏師 三浦耀山さんによる彫刻が行われていました。この三浦耀山さんは、今回境内に置かれていたガチャ仏さまのモデルとなった仏像を作られた方。今回のガチャ仏さまは、三浦さんが作られた仏像を縮尺したものを3Dプリンターで作られています。この日はそのモデルの木造の仏像も拝見することができました。
仏像が作られていく工程を見るのも仏師さんの仕事を生で見るのも、今回が初めて。大きな木を抱え彫り進める姿は真剣ではあるものの、仕事の厳しさが伝わるというよりは、優しい雰囲気。仏像愛を語る方や熱心に見入る方のお相手をしながら、彫る→資料確認→木に線を引く→彫る…という作業を繰り返されていました。私も少しお話をお伺いしたのですが、今回彫りあがった仏像を見ることは出来ないようです。
ということで、境内で挑戦して来た「ガチャ仏さま」。私の所に来てくださったのは、阿弥陀仏。飛雲に乗ったお姿が愛らしい阿弥陀仏です。ガチャ仏さまと一緒に入っていたのは、ナムい言葉セレクションと書かれた紙。仏教の教えですが、非常にわかりやすく書かれていました。
御朱印は庫裏で。庫裏には…
山門を潜って右手にある、庫裏。こちらの軒瓦は下り藤。
この庫裏、入ってすぐ右手の壁一面に、甘露図の複製画が掛けられていました。この甘露図は16世紀に描かれたもので、元禄時代より龍岸寺に保管されていたものだそうですが、現物は韓国の韓国国立中央博物館に寄贈されており、龍岸寺には複製画が送られました。甘露図の複製画は超十夜祭の期間中は常設されています。しかも、無料で拝見することが出来ます。
庫裏で御朱印を頂き、今回の参拝は終了です。この日はフライヤーなどで使われた字体で書かれた「超十夜祭」の御朱印と普通に書かれた「超十夜祭」の御朱印、南無阿弥陀仏の御朱印の三種類が用意されていました。
私がいただいたのは、フライヤーなどで使われた字体で書かれた「超十夜祭」の御朱印の御朱印と、南無阿弥陀仏の御朱印。各500円。
※御朱印は変更される可能性があります。
甘露図もですが、立派な神棚やその前の鍾馗さんらしき像もいい雰囲気を醸し出していました。そんな庫裏ではガチャ仏さまのばり取り→ガチャのケースに詰める作業を進めるスタッフの方々、出番前のアイドル…超十夜祭を支える人を生で見ることができました。
お寺自体は大きいとは言えない、龍岸寺。それでも龍岸寺は地域の人や檀家信徒だけではなく、趣味や興味・好奇心といった共通項を持つ、所属や年代・性差を超えた人が集まる場所となって来ています。弘法さんや天神さんのような蚤の市だけでなく、近年では春に行われた東寺フェス、北野天満宮や平安神宮の境内で行われるライブなど、寺社仏閣の広さを活かした音楽イベントが行われることも増えて来ましたが、法要と絡めたイベントを行う龍岸寺は、多分お寺の中の最先端。釈迦モーニングや冥土喫茶、ネーミングセンスにも脱帽です。
今後の超十夜祭は多分、もっと混沌とした仏教イベントになるのでは?と期待が高まります。
令和元(2019)年 龍岸寺 浄土宗寺院大公開へ
令和元(2019)年10月、浄土宗の京都教区10月1日(火)~27日(日)、多くの京都府内の浄土宗のお寺の門戸が開かれた際、龍岸寺は10月5日と6日の二日間に渡り寺宝が公開されるということで再訪してまいりました。
寺院大公開(令和元年度)とは、
京都府内には約600ヶ寺の浄土宗寺院があり、檀信徒の心の拠り所として地域の方々に愛され、また浄土宗の開祖である法然上人がお勧めになったお念仏の道場として日々活動しています。
今回その中の89ヶ寺がこの企画に参加し、各寺院ごとに特色ある内容で広く一般の方々に門戸を開きます。
昨年話題になった、龍岸寺の掲示板。言葉選びのセンスが問われる小さな掲示板ですが、思わず見入る言葉選びは、昨年受賞しただけの実力派という印象。
前回龍岸寺を訪れた際はお寺独自のイベント色が強かったのですが、今回は宗派の催しのため、境内は静かな状態。前回の賑やかさとは正反対な穏やかな日曜日の境内です。
龍岸寺の境内はさほど広くありません。そんな中、本堂向かって右側の大きな石が目を引きます。
今回は、前回訪れた際に庫裡の壁にかけられていた甘露図、娑婆と浄土の間に白道が描かれた二河白道図(にがびゃくどうず)、江戸幕府初代天文方の渋川春海が発行したと言われる日本初の星図の複製品が本堂で展示されていました。浄土宗の本堂というのも私は初かもしれない…と思いつつ、目を奪われたのは宮殿で隠れた壁に描かれた絵。鳳凰か孔雀か…近寄ることが出来ないので詳細はわかりませんが、尾が長い鳥が描かれているようでした。そして、一番長く眺めていたのは天文成象(てんもんせいしょう)の屏風。
天文成象(てんもんせいしょう)は、元禄12年(1699年)に刊行された日本で最初の星図である。著者は渋川昔尹とされているが、実際には父親の渋川春海がそのほとんどを制作したとされている。
『天文瓊統』巻8には春海自作の星図が掲載されたが、十分なものではなかった。そこで同巻に収められた春海の361座1770個の星官・恒星の観測値と中国の古くからの天文記録を重ね合わせて再構成して図として表記したものである。
出典:wikipedia-天文瓊統–
天文成象の中に北斗七星になりかけの六つの星を見つけた時は、思わず「あぁ、なんか惜しい…」と声が出ました。
令和元(2019)年 龍岸寺の浄土宗寺院大公開でいただいた御朱印。
今回は本堂の公開ということで、本堂横の入口から入らせていただいたのですが、入口にご住職が座っておられたので御朱印帳を預け、直書きで御朱印をいただいて参りました。今回用意されていたのは、御本尊の阿弥陀如来様の御朱印と改元記念の御朱印の2種類。それぞれ直書きと書置きが用意されているという、至れり尽くせりぶり。
※御朱印は変更される可能性があります。
龍岸寺への参拝の後は京都駅から伏見区の竹田駅から光照寺を目指しました。
2019年12月15日と2020年9月20日。前を通ると掲示板を撮影したくなります。
2021年5月23日。新型コロナウイルスによる非常事態宣言下の京都。買い物に向かう際に前を通り過ぎました。
令和5(2023)年 龍岸寺の浄土宗寺院大公開
祝日だった2023年10月9日、京都浄土宗寺院特別大公開で公開されていた龍岸寺。久々に訪れましたが、5、6人の方が既に参拝されていました。今回の門前掲示板はこちら。
寺院大公開の際に掛けられている五色の軸?旗?のれん?何と呼んでいいのかわからないのですが、いつものアレの真ん中にいるのは、京都教区教化団イメージキャラクターの源ちゃんということを知った今年。今年は各寺院浄土宗開宗850年の幟が追加されていました。
当たり前ですが変わらない欄間の豪華さに目を奪われつつ、お詣り。前回と同じように渋川春海が発行したと言われる日本初の星図の複製品などが展示されている中、ドローン仏も展示されていました。動画などでなんどか見たことがあったのですが、近くで見るのは初めて。ドローン自体も近くで見たことがなかったので、止まっている状態でもなかなか興味深く拝見しました。
令和5年(2023)年京都浄土宗寺院特別大公開 龍岸寺でいただいた御朱印
今回いただいた御朱印。龍岸寺の御朱印はシール式で一枚500円で拝受しました。
各御朱印には説明の挟紙(間紙)が添えられており、龍岸寺さんがこの御朱印を用意された意図がわかるようになっていました。
御朱印と一緒にお寺のパンフレットや門前掲示板の答えなどをいただいて、今回の参拝は終了です。
色々精力的に動いていらっしゃる様子は以前から変わらない、龍岸寺。アイドルプロデュースの頃から比べると、どんどん静かに動いていらっしゃる印象があります。それは動きがないというのではなく、静かに掘り下げるとか重みを増していくかのようでもあります。
龍岸寺は京都駅から京都水族館へ徒歩で向かう道沿いにあります。イベント時以外は境内に入ることは出来ないと思いますが、掲示板だけでも是非ご覧ください。
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