東福寺 概要
名称 | 東福寺(とうふくじ) | 山号 | 慧日山(えにちさん) |
御本尊 | 釈迦如来 | 脇侍 | 阿難(あなん) 迦葉(かしょう) |
開基 | 円爾(えんに) 円爾弁円(えんにべんえん) |
宗派 | 臨済宗東福寺派 |
所在地 | 京都府京都市東山区本町15-778 | ||
最寄りの公共交通機関 | JR奈良線/京阪電鉄 東福寺駅→徒歩約10分 京阪電鉄 鳥羽街道駅→徒歩約8分 京都市営バス 東福寺→徒歩約4分 |
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拝観時間
(拝観終了前にアナウンスがあります。) |
4月~10月末 ※閉門16:30 |
拝観時間 9:00~16:00 拝観受付終了16:00 | |
11月~12月初旬 ※閉門16:30 |
拝観時間 8:30~16:00 拝観受付終了16:00 | ||
12月初旬~3月末 ※閉門16:00 |
拝観時間 9:00~15:30 拝観受付終了15:30 | ||
拝観料 | 通天橋・開山堂 拝観料400円(小中学生300円) 国指定名勝 東福寺本坊庭園 拝観料400円(小中学生300円) |
紅葉の名所 東福寺
京都駅からのアクセスの良さに加え、屈指の紅葉の名所と知られる東福寺。臨済宗(りんざいしゅう)東福寺派の本山で、東山三十六峰の一つ、恵日山にあるお寺です。同じく東山三十六峰に名を連ねる泉涌寺や伏見稲荷とのアクセスも良く、年中参拝客が多いお寺の一つ。有名で人気が故に周辺を歩く観光客の多さに戸惑いを感じ、なかなか足が向かなかったお寺の一つ。その東福寺に10月と1月に参拝してまいりました。
東大路通り沿いから東福寺に向かう途中ある案内図。これを見ると多くの塔頭寺院や見所がが詰まっていることがわかります。塔頭だけで25寺。ここに記されている全ての塔頭やその他の建物が拝観可能という訳ではありませんが、観光客として訪れる私たちに公開されている場所だけを見て回るのにも半日以上必要じゃないか?と思われる大きさです。
※駐車場の案内図
この日は塔頭寺院の中の同聚院と勝林寺にお詣りしてから東福寺へと向かいました。
東福寺の塔頭寺院の並びを抜けると、東福寺の三名橋の一つ、臥雲橋が見えて来ます。
橋廊とは・・反りをつけて橋のようにつくった廊下。また,下に池や通路を設けた廊下。
出典:weblio辞書-橋廊(はしろう)
東福寺には洗玉澗(せんぎょくかん)と呼ばれる谷になった部分に3本の橋廊が架けられています。葉が茂っている10月上旬には周囲の葉に覆われてしまい、臥雲橋からは見ることが出来ない洗玉澗(せんぎょくかん)。1月にはこの緑が全て落葉し、冬には枝の間から洗玉澗(せんぎょくかん)を見ることが出来ました。
※10月
臥雲橋を渡り少し歩くと日下門(くさかもん)に到着です。臥雲橋から日下門までは、東側に定規筋の入った、五筋壁を見ることが出来ます。五筋壁があるということは、皇室縁のお寺である証拠。東福寺が最高の格式を持ったお寺だったことが伺えます。日下門をくぐるとすぐに、また山内案内図が。場所を再確認して、お詣り開始です。
※10月
東福寺 境内
東福寺は本当に広く、拝観終了ギリギリだった10月、観光案内として訪れた1月だけでは全部回りきれませんでした。
東福寺 本堂
あまりの大きさに、スマホでは手に負えない本堂。こちらは明治に火災で消失した仏殿と法堂を合わせて建てられたもの。
嘉禎2年(1236)に創建され、奈良東大寺と興福寺から一字をとって名付けられた。
現在の敷地面積は約24万㎡で、京都でもっとも大きな禅寺。出典:京都府観光ガイド-東福寺
驚いたのは、堂内に「撮影禁止」の文字が一切ないこと。そして、手を入れて自由に動かせるだけのスペースが設けられていること。何度も見回しましたが、一切「撮影禁止」と書かれていませんでした。それでも御本尊にカメラを向ける気は起こらず…。この辺りは人それぞれなのでしょうが、なんとなく控えてしまいました。ですが、天井に描かれた龍は撮影させて頂きました。この龍は堂本印象により描かれたもの。体長は54m・胴廻り6.2mという非常に大きな龍。
もともと龍は仏教を守る八部衆の一つ。更に、天井に龍を描くことで龍が下にいる人に仏法の雨を降らし教えを伝える、火災から守る、という意味があります(願いを込めることも含めています)。
※10月。拝観時間ギリギリのため、扉が閉められかけています…。
※↑1月。同行のお友達提供の写真。
※白くちらつく雪!
※10月
東福寺 三門
本堂の南側にある三門(さんもん)。通常なら山門という字が当てられていることが多いのですが、こちらは三門。東福寺の山門は室町時代から残る現存する最古の三門で、国宝に指定されています。
(前略)「三つの門:三門」と表記している。この意味は、「三解脱門」の略で、涅槃に達するために通らねばならない門とされる。三つの門は「空門(くうもん)」「無相門(むそうもん)」「無作門(むさもん)」である。
出典:東福寺 三門解説板
現地の解説を読むとわかるのですが、とにかくすごい!の連続です。大きさもですが、内部も非常に豪華絢爛な様子。数年に1度は公開されているようです。
この三門の手前には思慮池と呼ばれる池があり、10月には花の時期の過ぎた蓮が。蓮の盛りの夏には、蓮の向こうにある三門を見ることが出来るのでしょう。
※10月
※↑1月。同行のお友達提供の写真。
※↑1月。同行のお友達提供の写真。
京の冬の旅2018 非公開文化財特別公開
今年の京の冬の旅 非公開文化財特別公開、東福寺では2つのプランが用意されていました。東福寺禅堂+経蔵と西郷どんに合わせて公開されている東福寺塔頭の即宗院。今回は遠方から来たカメラ小僧の友人と一緒に、経蔵が初公開された、禅堂+経蔵の公開を見て来ました。
東福寺 禅堂 私語を禁じた三ヶ所(三黙堂)
日下門を入ってすぐのトイレの奥に建つ平屋の建物が、禅堂です。
禅堂と経蔵の公開では禅堂の前でしか受付をしていなかったため、禅堂入り口で拝観料を支払い(¥600-)、中へ入ります。中は木製の台に畳が乗せられたものが並び、その上には座禅を組むための座布団が2枚(重ねてあります)、そして、僧侶の像が正面に祀られていました。
・東福寺の禅堂は現存する禅堂としては最大で最古、重要文化財である。
・一畳に1枚の座布団の所と2枚の所があり、現在は250人程、多い時には400人を超える僧が座禅を組んだ。
・禅堂と東司、浴室は合わせて三黙堂と呼ばれ、私語を禁じられた場であった。
・同じく禅宗である臨済宗と曹洞宗の警策の読みの違い(臨済宗ではけいさく、曹洞宗ではきょうさく)や座禅の向き(臨済宗は通路に向かう(壁に背を向ける)、曹洞宗は壁に向かう)
・正面の僧形の像は文殊菩薩像。
・掲げられた扁額は「選佛場」と書かれていて開山 円爾弁円の師匠、宋国径山万寿寺(きんざんまんじゅじ)の無準師範によって書かれたもの。「選佛場」とは仏により選ばれる場、という意味ではなく、自分の中に仏を探すという意味。
・天井には穴が開いていて、明治に東福寺の本堂が火災で消失した際、この禅堂を本堂とし、当時の御本尊をこちらに入れる際に開けた穴の跡が残っている。
・修学旅行などでこちらの禅堂を使った座禅体験が行われている。
その他、文殊菩薩の後ろの入り口が閉じられて一箇所だけになった話など。
今回もガイドの方の流れる様に進む説明を聞きましたが、全部を覚えるのは無理でした。
そして、経蔵が狭いから、という理由で、経蔵の説明も禅堂で伺いました。
※同行は実家が臨済宗で葬祭をする友人(のカメラ小僧)
※禅堂前から見た、経蔵。:1月。同行のお友達提供の写真。
こちらの禅堂、重要文化財ですが、毎週日曜日の午前6:30~7:30の間、一般向けに座禅会が行われています。誰でも参加出来ますが、6時から掃除が始まり、10分前には着座している必要があります。詳しくは東福寺の公式サイトでご確認ください。
東福寺 東司(重要文化財)
東司(とうす)は、禅堂の南にある建物です。こちら、禅堂や浴室と並び三黙堂の一つとされた場所。東司と言われてしまうと全く想像出来ませんが、トイレです。
室町時代唯一、日本最大最古の禅宗式の東司(便所)の遺構で、多くの修行僧が一斉に用を足すことから百雪隠(ひゃくせっちん)とも呼ばれる。
出典:wikipedia-東福寺 東司
トイレかぁ…と思いながら中を覗いたところ、穴が並んでいました。なんとなく、見てはいけない様な気になったのは、修行の場だからなのか、トイレがプライベートだという意識があるからなのか…。とりあえず、ガン見してはいけないな、と思ったのは間違いありません。
東福寺 浴室(重要文化財)
東福寺の浴室は、山門の南東の山肌にあります。こちらは京都最古の浴室建築で、現代の様にお湯に浸かる形式ではなく、蒸し風呂形式です。近づいて見ることは出来ません。
東福寺 経蔵
禅堂での説明を聞き、禅堂内をブラブラ見て回った後、日下門を挟んで反対側にある経蔵に移動しました。この頃から写真に映り込む程、雪が本降りに。
・現存の経蔵は寛政5年(1793)に再建されたもの
・経蔵の中には八角形の回転式輪蔵が置かれている。
・円爾が宋から持ち帰った書跡や貴重な書物、経典が所蔵されている。その数は凡そ1000余り。
・輪蔵は時々お寺に置かれている摩尼車と同じ様に、1回廻すと中のお経を全部読んだと同じ功徳がある、といわれていた。
・現在も回すことが出来るけれど、今回の特別拝観では床が不安定なので回せない。
・八角形のうちの一片の扉が開けられているので、中でどの様に保管されているかを見ることが出来る。
・鎌倉時代に漢文体で記された日本初の仏教史書『元亨釈書(げんこうしゃくしょ)』等の版木など公開されている。
経蔵の中には、北側の入り口から入りました。入ってすぐに見える場所の輪蔵の下の床が割れていて、「輪蔵は床が不安定なので回していただけません」という、禅堂で聞いた説明の意味を納得しました。現在も回すことができるとは言え、本格的に回すというよりは、手入れや確認の為に回されている様です。
建物のど真ん中に大きな輪蔵。この輪蔵の為にだけ建てられた、というのがよくわかります。大きさに驚きながらひと周り。扉が開けられたところを見ると、小さな木箱が前後に入れられている様子が伺えました。前面で横に5箱、上下に7~8箱位でしょうか?
さらに木箱には通し番号が振られ、どの箱がどこにあるか?を記した紙が扉に貼り付けられていました。
また、輪蔵の周囲には、普段は輪蔵に入れられていて今回の公開に合わせて内部を見せる為に出したのであろう木箱や、入りきらないのであろう木箱が積まれていました。ただただ経典を収納する為に作られたのでしょう、派手な彫刻などは見受けられなかった様に思います。
そして、版木。今でも刷ることが出来そうな程、しっかりと凹凸の残った版木でした。
誰でも自由に(もしくは決まりを作って)輪蔵を回すことが出来たならば、非常にありがたいことだとは思うのですが、こうして長い年月管理して残し続けるだけでも相当な思いと手間だろうと思うと、回すことが困難になった輪蔵を見る機会に恵まれただけでも、非常にありがたいことだと思うのです。
東福寺 御朱印
東福寺でいただいた御朱印。こちらの御朱印は500円を納め頂戴いたしました。東福寺では秋には限定御朱印や書き置きでの対応などもあるようですが、この日は直接書いて頂けました。間紙には、墨書きされた大佛寶殿の説明がされています。庫裡は方丈拝観の受付にもなっているため、御朱印を預けて番号札を貰い、そのまま方丈拝観に向かう人が多いようです。
庫裡で御朱印を拝受した後、方丈の恩賜門だけ眺め、東福寺を後にしました。
近くの瀧尾神社や泉涌寺、東福寺の塔頭寺院に気を取られ、あちこち回って居る内に拝観終了間際に駆け込む…ということもあったのですが、特別公開で説明を聞くことが出来たのと、経蔵を拝観出来たのが何よりでした。
今度は、有料区域の通天閣の向こうまで足を伸ばせる様に、時間を作って伺いたいと思います。
東福寺塔頭寺院へも是非。
東福寺は総本山なので、周辺には塔頭寺院がいっぱりあります。普段門戸を開いているお寺、季節限定で拝観可能なお寺、拝観謝絶なお寺など様々。タイミング次第ですが、開かれていたら是非どうぞ。
2019年11月東福寺塔頭寺院巡りへ。
2019年の秋、東福寺の塔頭寺院巡りの際に東福寺へもお詣り。紅葉の名所として名高い東福寺。一年で一番観光客が訪れる時期だけに、写真はなかなか撮れませんでした。まだまだ紅葉は始まったばかりだった、2019年11月12日。
2週間超ですっかり彩が変わっていた2019年11月28日。通天橋の人の多さも数倍増になっています。
同じ臥雲橋でも、立つ位置により風景が違います。真ん中あたりがやっぱり人気。
人が多いので、どうしてもカメラを上に向けてしまいます。
紅葉シーズンは本当に人が多く、開門前から多くの人が並ぶ東福寺。自然が故にタイミング勝負なのが悩みどころです。
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