貴船神社へ
鞍馬山の山越えを終え、貴船に到着しました。
鞍馬山の貴船側入り口から貴船神社二の鳥居までは、本当にすぐです。100m超程でしょうか?
貴船(きぶね)は山肌と川に挟まれた細長い道沿いに料亭と貴船(きふね)神社がある、人気観光地です。地名は濁点の付いた「きぶね」ですが、神社の名前は水の神様を祀るため濁らず「きふね」です。
貴船の料亭と言えば、川床(かわどこ)料理です。鴨川川床(かわゆか)と貴船川床(かわどこ)と読み分けているようですが、私は縁遠いので未だに混乱します。
貴船の料亭では、夏場は川の上を床で覆い、下に川の水が流れている上で食事を頂くのですが、どこのお店もお高いです。また、夏の間は平日休日に関わらず予約でいっぱいになっていることがほとんどで、飛び込みで入れるお店は少ないと思います。私も15年程前、●源太へご招待頂いたことがありましたが、一献、汁、向付…という形式に則った日本料理が出て来た覚えが。とても美味しく涼しい時間だったことも覚えています。古い記憶ですが、当時の改築前の貴船神社と周辺は、もう少し静かな雰囲気だった気がします。
貴船神社の本宮入り口、二の鳥居です。一の鳥居は叡山電鉄貴船口駅の辺りにあるので、今回は二の鳥居からです。右端に見えている茶色の壁が、車道を挟んだ料亭です。如何に道幅が狭いのか?がご理解頂けるかと思います。この日も大勢の人で賑わっていて、人が居ない瞬間というのはほとんどありませんでした。
入り口の京都市が用意しているこま札に書かれている通り、平成17年に改築されていて、境内案内図から何から、新しい雰囲気が漂っています。
貴船のもみじも細かく、秋には灯籠によるライトアップが行われる、もみじの名所でもあります。この日は夏の日差しを遮り柔らかなく変えてくれた紅葉を眺めながら、階段を上がりました。
この日は京都市の各地で行われていた京の七夕期間中で、七夕の短冊が用意されていました。そのため、短冊に願いを書く人や竹に結びつける人も多く、上がりきった境内は人で溢れていて、撮影どころではありませんでした。京の七夕は徐々に会場が増えつつあるイベントです。会場毎に行われているイベントが違い、寺社によっては夜間拝観なども行われています。2017年は貴船神社も夜間拝観の開催会場でした。右に倣え、で私も短冊に願いを書きました。七夕に短冊を書き竹に結ぶ、なんて数年ぶりのこと。こんな機会でもなければ、童心に戻って短冊に願いを書くなんてことはないでしょう。
貴船神社 本宮にお参り
境内の混み具合もですが、本殿へのお参りも列が出来ていました。御祭神は高龗神(たかおおみのかみ)様、水の神様です。繋がっているように見えるのでわかりにくいのですが、拝殿からお詣りしている形になります。
拝殿・本殿と授与所は境内の中でも一段高い位置にあるのですが、混雑している時は、休憩所の龍船閣の辺りまで列が並んでいました。
岩肌から竹を通って出て来ている御神水です。周辺一帯が湿っているので、水が自然に溢れていることが伺えます。この水を使い水占いおみくじをする人が多く、周辺は混雑しています。水占いおみくじは白く見える紙を水に浮かべて浮かび上がって来た文字を読むという、人気のおみくじです。
本宮の北側には境内末社も多く、白髭社 牛一社 川尾社 鈴鹿社 祖霊社 などがあります。境内末社は少し目立たない感じで、お詣りしている人は本宮の人数に比べても驚く程少ないです。
貴船神社 奥宮
貴船の一本道を登って行きます。
中宮前を通り過ぎ、料亭もなくなり川と道路と山だけになった頃、山側に大きな杉と杉の下に灯籠がある、砂利が轢かれた道が現れます。その先が、貴船神社の奥宮です。
※奥宮楼門
※奥宮楼門前の湧き水
この日、奥宮境内は作業がされていて、人がとても多く、少しざわついた雰囲気でした。
後日わかったのですが、作業の理由はNHKのテレビ番組。
このNHKの生中継の為に、ライトアップ等の用意の真っ最中だったようです。この番組は私も見ましたが、青や緑にライトアップされて、異界の雰囲気を醸し出そうとしているようでした。当日の生中継の放送では、この奥宮の拝殿で、人間国宝・大槻文蔵さんによる能の奉納が行われました。
どうしてもケーブルを持った人の姿が写り込んでしまっていたので、2016年の秋の写真を。季節が違うため、雰囲気が若干異なります。
奥宮で祀られているのは本宮と同じ、高龗神様。一説には境内には吸葛社 日吉社 鈴市社もあります。その昔、玉依姫命がこの地まで乗って来た黄色い船を人目につかぬように石垣を積んで囲ったと言われる舟形石があり、航海の無事を祈る人からの信仰を集めていると言われています。
貴船神社に纏わる逸話 奥宮で異界中継が行われた理由…?
貴船神社には様々な逸話が残されています。
貴船神社が「恋を祈る神社」として知られるようになったのは、今から千年もの昔、宮廷の女流歌人として名高い和泉式部が、夫の心変わりに悩んだ末に貴船神社に参詣し、夫との復縁を祈願したところ、願いが叶えられたという話に始まる。
出典:貴船神社公式サイト-文学 短歌(サイト更新によりリンク切れ)
また、能の「鉄輪」の題材となった鉄輪の井の女性が下京から毎晩丑の刻詣りに通ったのも、貴船神社です。
鉄輪の井の話を最初に聞いた時、鉄輪の井戸の女性は下京から貴船まで通ったというならば、毎晩4〜5時間歩いて通うという程の信念を持っていて、その信念故に鬼になってしまうのだけれど、その女心を鬼だからという理由でやっつけてしまう安倍晴明って一体…と思ったものです。
その他、一人返された磐長姫命様のお話などもあり、異界中継の地に選ばれたのかなぁ?などと、異界中継を見ながら思い出していました。
歴史が古ければ古い程逸話は残るものですが、水の神様の貴船神社で、縁切り縁結びのご利益が謳われる理由はこの辺りなんだろうと思います。
貴船神社 中宮(結宮(ゆいのやしろ))
貴船神社 奥宮を出て来た道を戻り、中宮(結宮)に向かいます。中宮(結宮)のご祭神は健康長寿・縁結びの神として知られている磐長姫命様。
昔はここの草を結んで縁結びを願ったそうですが、今は自然保護の観点から禁止されています。その代わり、本宮の社務所で結び文を頂いて(200円)中宮に来て設置されている結び処に結びます。
男女間だけではなく、人や仕事との縁も結ぶと言われる結宮。本宮からの距離はそれほど遠くありません。道から少し入った所に祀られていますが、立札があるので入り口はすぐわかります。
貴船は道幅が本当に狭いので、気をつけて歩いてください。
貴船神社は本宮→奥宮→結宮という順番で廻る三社詣りと呼ばれる詣り方が有名です。調べてみましたが、理由はわかりませんでした。
貴船で夏限定の自然の恩恵に触れる
奥宮を出てすぐ、近くで奥宮内の作業を見守っていた貴船神社の関係者らしき来た方達に「そこから降りれるよ」と声をかけられました。見ると、そこには貴船川に降りる階段が。
お声かけいただいたからには、降りない訳には行きません。川岸に降り、遠慮なく靴を脱いで、鞍馬駅から歩き続けた足を冷やしました。昔、もっと上の方で沢ガニが稚ガニを放った後に出くわしたことがある程、綺麗な水が流れる貴船川。その川の水は冷たく、疲れた足を癒してくれました。
貴船神社でいただける略記には、気生根と書かれています。その名に相応しく、また歩こう、という気が生まれて来たから不思議です。
貴船神社 御朱印
貴船神社の御朱印は本宮と奥宮の2種類です。本宮のものはその場で書いて頂けます。御朱印を頂く場所が狭いため、御朱印帳を預けて番号札を頂きしばらくしてから受け取りに行く、という方法です。番号が呼ばれる訳ではないので、ご注意ください。
奥宮の御朱印は書き置きのものです。社務所は本宮にしかないため、奥宮の御朱印も本宮の授与所で頂きます。奥宮は少しだけ離れた所にありますが、御朱印を貰うことがスタンプラリーにならないよう、お詣りもしっかりしましょう。
貴船神社 概要
名称 | 貴布禰総本宮 貴船神社 | 創建 | 不詳 |
主祭神 | 御祭神 本宮・奥宮 高龗神 中宮 磐長姫命 | ||
境内社/摂社・末社 | 本宮末社 白髭社 牛一社 川尾社 鈴鹿社 祖霊社 奥宮内末社 吸葛社 日吉社 鈴市社 |
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主なご利益 | 運気隆昌 縁結び 諸願成就 | ||
所在地 | 京都市左京区鞍馬貴船町180 | ||
最寄りの公共交通機関 | 叡山電鉄 貴船口駅 →京都バスに乗り換え→貴船(バス停) ※貴船口駅から徒歩の場合は約30分(2km) |
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拝観時間 | 6:00~20:00 (5月1日~11月30日) 6:00~18:00 (12月1日~4月30日) |
※貴船地区には駐車場はほとんどありません。あっても料亭の駐車場程度ですので、一般観光客は利用出来ません。お気をつけください。
昔は本宮があったと言われる貴船神社 奥宮の参道の大木には、今でも五寸釘の後が残っているとかいないとか…。私は確かめません、ご確認はご自身の責任でどうぞ。
20171123 追記
大悲山 峰定寺へ向かう途中、貴船神社の一の鳥居の前を通ったので、一の鳥居の横の梶取社へお詣り。
紅葉が早かった2017年。前夜の雨も重なり、色が落ち始めている紅葉の落ち葉と梶取社。
雨上がりでこの景色なら、最盛期はどれほど見事なことか。ため息が出そうです…。
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