金堂本殿から奥の院へ

鞍馬寺金堂本殿前のお詣りを済ませて、金剛床を十分満喫し、それぞれのパワースポットも見つけたため、奥の院へ出発です。
奥の院へは、本殿金堂横の光明心殿の前を進み、奥の院参道と書かれた看板の先の門(壁を抜いてあるところ)を潜り進みます。看板には「奥の院参道 800m」と書かれていました。
※ここでも無料杖の貸し出しがあります。本当に杖が必要なのは、この先です! 必要な方は遠慮なく借りましょう。また、本殿金堂には自販機があります。必要に応じて水分確保してくださいね!
金堂本殿前が頂上のように感じますが、金堂本堂を出てからも、少し上り道が続きます。鞍馬寺 霊宝殿(鞍馬山博物館)や冬柏亭(与謝野晶子書斎)の辺りもまだ山頂ではないらしく、登り道です。
登り始めて結構すぐに、山肌側に上がって行く階段があります。その先に、自由に撞くことが出来る梵鐘があります。
本殿金堂辺りでも聞こえてくる梵鐘はここのものだと思います。本殿金堂前で聞いたときは「鐘がなってるなぁ」程度ですが、その場で聞くと音の大きさや迫力が全く違います。圧力を感じる程の迫力があるので、是非撞いてみてください。この梵鐘の奥に、山(梵鐘)に背を向けたお社がありました。崖に向いて山肌に背を向けている、とでも言えばいいのでしょうか? 場所が場所だけに見に行くことは控えましたが、その場所と設置方法故、気になったお社でした。
そしていよいよ、奥の院参道の始まりです。
息継ぎの水から木の根道へ
義経が深夜に天狗に兵法を習うため奥の院に向かう時に喉を潤した、と言われる息継ぎの水。何百年経った今も同じ所で水が湧き出続けていることも驚きですが、こんな山道を深夜に歩いていたことも驚きです。そしてこの話が真実であるならば、奥の院には天狗がいた、ということになります。
屏風坂の地蔵堂を経て、遮那王堂と義経公背比べ石です。この辺りが鞍馬山の山頂です。遮那王堂はこの背比べ石の隣に並んで建っています。この背比べ石、そんなに大きな石ではありません。木で囲われている為近づいて比べることは出来なかったのですが、目視130cm程でしょうか?
義経が鞍馬寺に預けられたのは11歳、鞍馬寺を出奔したのが16歳と言われています。義経が奥州に下る時に名残を惜しんで背を比べた石と言われていますが、遮那王と名乗っていた当時の義経が、130cm位の石と背比べをする程小柄だったことが伺えます。そんな小柄な身体故、五条の橋の上の欄干をひょいひょいと飛べたのでしょう。
息継ぎの水も背比べ石も参道沿いにあるので、探す必要はありません。背比べ石の所で、大杉権現へ向かう木の根道と普通のルートに別れ、この辺りから下り始めます。
木の根道へ
根が地表面でアラベスク模様を描くのは、この辺り一帯の砂岩が、灼熱のマグマの貫入によって硬化したために根が地下に伸びることが出来なかったため。
出典:鞍馬寺公式サイトー山内案内
鞍馬山は、鞍馬石という石が採石されていた地だそうです。(※今は採石が禁止されています。) 石が採石されていた山、というだけで地盤は固そうだということが想像出来ますよね?
そんな固い地盤の上で、杉の木は何故こんなに大きく伸びることが出来るのだろう?と時々上を見上げ、それでも足を取られないように下の木の根を見ながら歩いて行きます。
大杉権現で祀られている、大杉を横から眺め。
杉の根道から参道へ戻る途中、こんなアートのような木に出逢いながら、再び参道に合流します。大杉権現の辺りは瞑想を愛する人に人気がある場所だとか。周辺にベンチがあるので、座って瞑想してみるのも良いかもしれません。(ベンチはこの日、外国人観光客の方がランチに利用していました。)
真夏の昼間なのに、ひぐらしや他の虫が鳴いていました。暑いとはいえ、街中とは気温が違うようです。
僧正ヶ谷不動堂
伝教大師、最澄が天台宗立教の悲願に燃え、一刀三礼を尽くし刻んだ不動明王が奉安されています。
出典:鞍馬寺公式サイトー山内案内
一刀三礼(いっとうさんらい)とは、一彫りごとに三回礼拝する、という彫り方。一刀三礼で彫られたと言われる仏像には時々出逢うことがあります。京都市下京区の不動堂明王院では、弘法大師空海が一刀三礼で彫った不動明王が石棺に入れ井戸の底に安置した、と言われる不動明王様が祀られています。(井戸の底なので拝観は出来ません)

京都の繁華街の新京極通沿いの西光寺には、弘法大師空海が一刀三礼で彫ったと伝わる薬師如来様がいらっしゃいます。

僧正ヶ谷不動堂の前には幾何学模様の床石が敷かれていて、その上は本殿金堂の前の金剛床と同じ力があるのだということを、帰宅後に知りました…。今から行かれる方は是非、その上でも宇宙のパワーを感じてみてください。
僧正ヶ谷不動堂の周囲には眷属社や義経堂などがあります。鞍馬山の眷属というと天狗様のような気がしますが、ここでは眷属社とだけ記されているので、天狗様は勿論、龍、蛇、狐、八咫烏、その他多くの眷属を差しているかもしれません。眷属社というだけで嬉しくてカメラを向けましたが、その奥の杉も不思議な形をしていました。
根が引っ付いているというか、途中から幹が別れているというか。なんとも不思議な2つを撮ろうとしたら、中途半端な写真となってしまいました…。
僧正ヶ谷不動堂から、また緩やかに続く坂道を下ります。
奥の院 魔王殿
鞍馬山随一の聖地と言われる奥の院魔王殿。大きな灯籠が一基、お出迎え。
人類救済の為に金星から降臨したと言われる護法魔王尊(サナート・クマラ 年齢16歳)が、この奥の本殿に祀られています。本殿は木の塀の間から覗くことができます。
1945年(昭和20年)の焼失後に再建された建物だそうですが、本殿金堂と比べると簡素です。ですが、ここもパワーを感じる、という人が多くいる場所です。
「魔王殿」は太古、護法魔王尊が降臨した磐坐・磐境として崇拝さ れてきましたた。
出典:鞍馬寺公式サイトー山内案内(公式サイトのまま掲載)
奥の院魔王殿前にはベンチがあり、何人かの方がそこで休んだり、貴船から登って来る人が居たりで、鞍馬-貴船間では、一番人が多い場所でした。
貴船へ、あと一息
いよいよ貴船まであと一息ですが、ここから一気に道が悪くなります。
木の根道は木の根道で歩きにくい場所ではあったのですが、この貴船に抜ける山道は、階段にはなっていますが、幅・高さともにバラバラで傾斜があります。段を付けた山肌を木で形成しているような階段なので、雨の翌日等はすべる所がありそうです、気をつけて歩いてください。
簡易な手すりが取り付けられているので、不安な人は手すりを持って歩くと安心です。無料で貸し出されている杖は、ここで本領を発揮すると思われます。
また、奥の院参道とは違い幅が狭く、並んで歩くことは難しいかもしれません。貴船から登って来る人とすれ違うことも多々あります。この日もこの辺りで海外からの旅行者のグループとすれ違いました(ハイヒールでアタックしている姿には脱帽でした)
今回、奥の院を出て貴船へ向かう道沿いで、明らかに真上から衝撃を受けたかのような割れ方をした木を数本見かけました。帰宅後に調べた所、雷の直撃のようでした。
雷直撃のイメージと違い、コゲた形跡も燃えた形跡もないので、実際見ている時は今ひとつ理由がわかりませんでした。
天候が悪い日に鞍馬山に登る予定に時は、十分注意し、天気予報などを随時チェックして行動ください。
倒れている木や小さな石像を見ながら下り、整備された石段まで来たら、鞍馬山は終了です。この西門にも、借りて来た杖を返す杖立てがあります。
※鞍馬山 貴船側入り口
期待と不安を胸に挑んだ鞍馬寺。
自然に満ちた空間で、身体を動かし汗をかき、普段は感じない疲労感や不満、開放感や達成感、数時間の内に色んな思いが過りました。
それでも、やっぱり『来て良かったな』と思わせる何かがある地です。
是非、何かを感じに行ってください。
鞍馬寺 概要
名称 | 鞍馬寺 | 山号 | 鞍馬山 |
御本尊 | 尊天 (毘沙門天王・千手観世音菩薩・護法魔王尊) | 脇侍/安置仏 | 阿弥陀如来座像 木造毘沙門天立像 木造吉祥天立像 木造善膩師童子立像 他、山内に多数 |
開基 | 鑑禎 | 宗派 | 鞍馬弘教 (仏教ではありません) |
所在地 | 京都府京都市左京区鞍馬本町1074番地 | ||
最寄りの公共交通機関 | 叡山電鉄 鞍馬駅 京都バス 鞍馬温泉行 鞍馬停留所 | ||
拝観時間等 | 入山は24時間可能 諸堂は9:00~16:30 | 拝観料(通常) | 愛山費として 300円 |
貴船・鞍馬は京都の中でも山の中にあり比較的涼しく、観光地としてだけではなく、気軽に行ける避暑地としても人気のあるスポットです。でも、真夏の山越えは暑く、想像以上に体力を消耗しました。
それでも降りたった地は貴船。人気観光スポットです!

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