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平等寺(因幡薬師) 頭に頭巾を置かれたお薬師様。

平等寺(因幡薬師) 概要

名称 平等寺(びょうどうじ)
(因幡薬師/因幡堂)
山号 福聚山(ふくじゅいん)
御本尊 薬師如来 脇侍/安置仏 日光月光菩薩像 / 不動明王像 愛染明王像
(重要文化財 清凉寺式釈迦如来像 如意輪観音坐像)
開基 橘行平 宗派 真言宗智山派
所在地 京都市下京区松原通烏丸東入因幡堂町728
最寄りの公共交通機関 京都市営地下鉄烏丸線 五条駅→北へ徒歩約5分
京都市営地下鉄烏丸線 四条駅 /阪急 京都線 烏丸駅→南へ徒歩約5分
京都市営バス 烏丸松原→徒歩約1分
拝観時間等 開門
6:00~17:00
納経・祈祷
9:00〜17:00
拝観料(通常) 無料
手づくり市 毎月8日(雨天催行)
9:00~16:00
護摩祈願 毎月8日
10:30〜

京都三大薬師の一つ、因幡薬師へ

烏丸通沿いの平等寺(因幡薬師)の入り口

※烏丸通から稲葉薬師へ入る道。

平等寺(因幡薬師)の彫刻

※烏丸通から入り見る、因幡薬師の屋根。細かな装飾を鳥から守るため、金網がめぐらされています。

松原通からみた平等寺(因幡薬師)京都の中心部、四条烏丸と五条烏丸の真ん中辺りに、因幡薬師さんがあります。烏丸通の入り口の石碑にも松原通りからの入り口にも因幡薬師と書かれているためついつい因幡薬師さんと呼んでしまいますが、正式名称は平等寺です。それでも、因幡薬師と言った方が京都の人には通じるかもしれません。

昔から町衆の信仰を集めたお薬師さんで、1,000年以上の歴史を持ち、東寺、蛸薬師と並ぶ、京都三大薬師の一つと言われています。また、洛陽三十三所観音霊場の第27番札所、京都十三仏霊場第7番、比叡山延暦寺で千日回峰行をされている阿闍梨さんが京都大廻りの際に立ち寄るお寺としても有名です。

東西に走る、松原通から。交差する不明門通(あけずどおり)と言われる通りの正面にお堂があるのですが、かなり解放感のあるお堂のため、毎回写真を撮るのを躊躇してしまいます…。

平等寺(因幡薬師)の駒札

※いつもの京都市設置の駒札。大事なところだけ。

頭巾を被った、ご本尊

平等寺(因幡薬師)

ここ3〜4年程、毎年何らかの形でお詣りしている、因幡堂。平成28年度(2016)「第52回京都非公開文化財特別公開」に、ご本尊の薬師如来立像(重要文化財)の拝観に伺いました。京都非公開文化財特別公開(拝観料:800円)では、学生さんらしき方の説明を各所で聞くことができました。

お薬師様の逃げ道を守る、仁王画

第52回京都非公開文化財特別公開の際、因幡堂ではご本尊だけではなく、因幡堂縁起絵巻や、「小督局」(こごうのつぼね)ゆかりの蒔絵の硯、琴、髪が織り込まれた毛髪織込光明真言などの寺宝が本堂で公開されていました。もちろん、全て撮影不可のため、写真はありません。

この京都非公開文化財特別公開では、2015年の秋に見つけられた鈴木松年の『仁王』が描かれた戸(というか木戸)も公開されていました。2015年は見つかった状態で公開、2016年は修復を終えて元の場所に収めての公開。その後は宝物庫で保管されるそうなので、元々描かれた場所での最後の公開になるとのことで、非常に貴重な経験となりました。この仁王画、かなり肉感的で躍動的、迫力あります。サイズはとても小さくなってしまいますが、因幡薬師さんで販売されている御朱印帳の表紙にもなってます。

この『仁王』が描かれていた場所は、因幡堂のご本尊を祀っていた場所の後ろ。

有事の際にはご本尊をここから移動させたそうですが、暗い場所で人も多かったため、構造はよくわかりませんでした。

ご本尊の頭巾は、薬師如来様への心遣い

さて。有事の際にはご本尊をここから移動させていた訳ですが。

こちらの薬師如来様、厨子に入れられた状態で祀られていて、火事などの際に厨子ごと避難されていたそうです。そのため、厨子の中で頭をぶつけないように…ということで頭巾を被せられるようになったとのこと。厨子の大きさも運ぶ際に厨子の中で動いてしまってぶつかったりしないようにという配慮でしょう、ピッタリサイズな上に、運びやすい様に滑車の付いたお厨子。(ただし、お厨子の裏は見られませんでした)。

この辺りは平安からずっと京都の碁盤の目の中。応仁の乱や文明の乱などの戦乱や火災のたびに運び出され、落ち着いたら戻り、守り守られてきたのでしょう。

いつ頃から頭巾を被せられるようになったか?という説明はありませんでしたが、お薬師様を大切に思う心の現れだなぁ、と思いました。

現在、そのご本尊の薬師如来様は厨子に入って奥の肌色の建物の収蔵庫に保管されています。京都非公開文化財特別公開の時も、こちらの収蔵庫の厨子の中で頭巾を被った状態で公開されました。

丸く非常に柔和なお顔立ちの薬師如来様で、しっかりと薬壺を持って立たれていました。私の中でお薬師様を思い出す時、思い浮かぶのは、こちらのお薬師様の柔和なお顔。特別公開の時以外は拝見することは出来ませんが、タイミングが合ったら、お詣りに伺っていただきたいお薬師様です。

薬師如来様の収められた宝物庫の前に、は薬師如来様の等身大に近いポスターと、贔屓(ひき/びし)さん。

中国の伝説によると、贔屓は龍が生んだ9頭の神獣・竜生九子のひとつで、その姿は亀に似ている。重きを負うことを好むといわれ、そのため古来石柱や石碑の土台の装飾に用いられることが多かった。

出典:wikipedia-贔屓

贔屓(ひいき)の語源にもなったと言われる、贔屓(ひき)さん。なんで重いものを好んで背負うんだろう?という謎は未だに解明されていませんが、時々出会うと嬉しくなります。

平等寺(因幡薬師)の宝物庫前の贔屓さん

60日に一度、甲子の日限定の、大黒様。

因幡堂では干支の一番にあたる甲子(きのえね、こうし、かっし)の日限定で公開される、大黒様がいらっしゃいます。

甲が木性、子が水性で相生(水生木)の関係にあり、また、干支の組合せの1番目であることから、甲子の日は吉日とされている。
子を鼠と結び付かせ、鼠を大黒天の使者とみなして、大黒天祭(甲子祭)が行われる。

出典:wikipedia-甲子

本堂を囲む様に飛び出した壁の左側(西側)にびんずるさんが鎮座されていました。あちこちでびんずるさんに出会いますが、いつも外にいらしてご苦労様だなぁ、と思います。

びんずるさんの横、ガラス越しの中に弁財天様と毘沙門天様の前に三面六臂の憤怒相の大黒天様がいらっしゃいました。憤怒相で火焔光背の大黒様は因幡堂で初めてお会いした気がします。東寺にも三面大黒天様はいらっしゃいますが、東寺の三面大黒天様のお札には、笑顔の大黒天様が描かれています。泉湧寺別院 雲龍院の走り大黒天様は笑顔かどうかは微妙ですが、憤怒とは言い難いお顔。

なぜ憤怒相なのかまではお伺いしませんでしたが、小さいながら迫力のある大黒天様。甲子の日には書き置きの大黒天様の御朱印を拝受することが出来ます。(大黒天様の御朱印は500円)

本堂を囲む様に飛び出た壁、反対側(本堂に向かって右/東側)には、弘法大師様と地蔵菩薩様が祀られています。

本堂から境内が見渡せる場所で御朱印を書かれている方がいらっしゃるため、正面から撮影し難い本堂。扁額が掲げられる場所には大きな懸仏が掛けられています。かなり立派な彫刻と薬壺を持った薬師如来像。あまり見かけない懸仏、上の方にあるために細かな点まで見ることは難しいのですが、立派であることはすぐにわかる迫力です。

平等寺(因幡薬師)本堂を東から。

平等寺(因幡薬師)本堂を西から。

本堂の西側から、観音堂や聖天(歓喜天)堂・地蔵堂、そして十九社明神、閻摩天 大日如来を祀る小さな祠とその祠を守る金剛夜叉明王像と毘沙門天像と並んでいます。

この日は甲子の日だったため、どこを見ても人がいる状態でしたが、平日ならばもっとのんびり拝観できることでしょう。(ただし、毎月8日の手づくり市の日は別です。)

平等寺(因幡薬師)観音堂

平等寺(因幡薬師)の聖天(歓喜天)堂・地蔵堂・十九社明神

平等寺(因幡薬師)閻魔像

この辺り、街中とはいえ結構鳩などの鳥が居ます。そのため、彫刻に飾られた素敵な本堂のあちこちを、金網が守っています。本堂の梁の(と言っていいかわかりませんが)龍の彫物、玉眼なので是非見てみてください。また、軒丸瓦には、因幡堂の文字も。

平等寺(因幡薬師)玉眼がはめられた軒鼻

平等寺(因幡薬師)丸軒瓦

癌封じでも有名な因幡堂。以前癌に罹患した身内のために因幡堂でお守りをいただいた時、三方に乗せた上で一度仏様の前にお供えし、三方のまま差し出していただきました。仏様の前で供えていただけるとは、嬉しくありがたい心遣いです。

近年、インコのお守りが人気となり、鳥好きな人も多く訪れている様です。最近では、インコの御朱印帳まで扱われています。

毎月8日の手づくり市と護摩祈願や甲子の日の大黒天様など、月に一度は何かしら行われている、因幡堂。街中で時間が合ったら、フラッと立ち寄って見てください。ギュッと凝縮された空間が待っています。

2019年1月8日、因幡薬師の手作り市へ出向いてきました。

2019年1月8日、どこへ向かうともなく自転車で走っていたところ、徐々に因幡薬師さんの近くに辿り着きました。ということで、参拝と手作り市へ。10:30から行われている本堂での護摩祈願には間に合いませんでしたが、手作り市には間に合いました。境内は本堂の両横までお店が出されて居て、人がすれ違うのがギリギリな状態。食べ物から衣服類まで多くのお店が出て居ました。

因幡薬師 手づくり市 190108

因幡薬師 手づくり市 190108

平等寺 (因幡薬師) 御朱印+甲子の日限定御朱印

因幡堂でいただいた御朱印はこの2種類。他にも京都十三佛霊場 京都十三佛霊場の御朱印や洛陽三十三所の御朱印などもいただける様です(京都十三佛霊場の御朱印や洛陽三十三所の御朱印は、御朱印帳が限定される可能性があります)。

甲子の日の御朱印に日付を入れていただけないのは少し寂しいですが、金の墨が非常に綺麗な御朱印です(因幡堂の文字の横にうっすら線があったので、因幡堂の文字はスタンプかもしれません)。

平等寺(因幡薬師)

 

洛陽三十三観音巡礼の御朱印を頂いて来ました。【追記】

時々通りすがりで立ち寄って居た因幡薬師さん。御朱印帳を持参していないことも多々あったため、改めて洛陽三十三観音巡礼の御朱印帳を持参し、御朱印を頂いて参りました。御本尊が薬師如来様の因幡薬師さん、観音巡礼で頂ける御朱印は、通常の御朱印とは別のものでした。

因幡薬師 洛陽三十三観音巡礼 御朱印 20200202

因幡薬師 洛陽三十三観音巡礼 御朱印 20200202

伺った時、丁度新しい御朱印帳を探していたタイミング。因幡薬師さんの御朱印帳と言えば、小鳥(インコ)や犬・猫柄が有名なのですが、今回「子年」にちなんだ御朱印帳が用意されていました。

因幡薬師 御朱印帳 「子年」 20200202

因幡薬師 御朱印帳 「子年」 20200202

雑感

20年程前から数年間、因幡薬師と仏光寺の間辺りに住んでいました。今思えば、本当に贅沢な環境です。仏光寺の梵鐘の音と境内辺りにいるであろう鳩の鳴き声は毎日聞いていましたが、因幡薬師さんに梵鐘があったかどうか?は、拝観を終えた今でさえ不明です。
因幡薬師さんの斜め前辺りにあった、引き戸を開けたら奥まで全て丸見えになるんじゃないか?と思うような薬師湯は今はなく、マンションに建て替えられていました。

当時は地域の人や熱心な信者の方と猫以外見かけなかった仏光寺も、絵入りの法御印(御朱印)で大人気になり、マルシェなども行われたりと非常に賑やかになったようです。私のイメージは今でも、静かで人懐っこい野良猫が多く、通り抜けがてらよく猫とじゃれた場所、です。

祇園祭では、因幡薬師の近くの東洞院通の高辻通と松原通の間に保昌山(ほうしょうやま)が立ちます。一つだけ離れた山ですが、恋愛のお守りが授与されるため、離れたところでも人が絶えることがなかったのが印象的です。

22時くらいまでスピーカーから流れていた「こんちき」は、近所に住んだからこその懐かしい思い出です。

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