・紅梅、水仙、万両などなど、椿以外の草花も綺麗なお寺。
・拝観シーズンには特別御朱印も。
霊鑑寺 概要
名称 | 霊鑑寺(れいかんじ) | 別名 | 谷の御所/ 鹿ケ谷比丘尼(ししがたにびくに)御所 |
山号 | 円成山/円城山 | 御本尊 | 如意輪観音像 |
開基 | 多利宮(たりのみや) | 宗派 | 臨済宗南禅寺派 |
札所 | 洛陽十二支妙見巡り 卯 | ||
所在地 | 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町12番地 | ||
最寄りの公共交通機関 | 京都市営バス 上宮ノ前町 → 徒歩約5分/錦林車庫前 → 徒歩約10分 | ||
拝観時間等 | 通常非公開 | 拝観料(通常) | 通常非公開 |
2020年 京の冬の旅 非公開文化財特別公開 | |||
開催期間 拝観受付時間 |
2020年1月10日(金) ~3月8日(日) 10時~16時半 (受付終了16時) |
拝観料 | 大人 600円 小学生300円 |
開門を待っていた、霊鑑寺。
京都市左京区にある霊鑑寺。洛陽十二支妙見巡りの一寺でもある霊鑑寺。通常非公開寺院の為、いつ伺ったら御朱印を頂けるのか?と、迷っていたお寺です。
とあるお寺の奥様から他の普段公開していないお寺のことを教えて頂いたんだけれど、今年の椿の季節っていつになるんやろ…?
戻って来て、季節感…。— 寺女【京都】 (@Love_kyoto_life) January 26, 2020
ということで、某寺の奥様から教えていただいた通り、椿の咲く頃を待って霊鑑寺へ。
霊鑑寺 妙見さんは山門より手前
洛陽十二支妙見巡りの一寺として訪れたからには、妙見さんへのお詣りは欠かせません。霊鑑寺の妙見さんは山門より手前、いつもは閉ざされている結界の向かって左手、北側の小さなお堂に祀られています。冬場も青々とした木々に包まれた、不動堂(妙見さん)。妙見さんと一緒にお不動さんも祀られているので、不動堂と書かれた額が上がっています。
2019年6月に訪れた時の様子。山門は閉じられていた為に不動堂(妙見さん)へのお詣りだけに留まりましたが、更に生き生きとした緑に覆われていました。
霊鑑寺 山門の中へ。
霊鑑寺の山門。通常非公開な霊鑑寺ですが、非公開の際は下の写真のように山門のかなり手前の柵が閉められており、山門まで辿り着くことさえ出来ません。
その為に山門よりかなり手前、柵のところに駒札が建てられています。
駒札は帰りに撮影したので、西日の影響をかなり受けています。詳細は以下サイトで確認できます。
五筋塀が示す通り、皇室縁のお寺。歴代の皇女が入寺されたという尼門跡寺院です。
山門を潜るとすぐに目に入ってきたのは、紅梅。御朱印の受付はこの紅梅の奥で行われていました。多くの御朱印帳が並べられており、拝観前に預けた方が良さそうな感じでした。
拝観ルートに従い紅梅の東側へ進むとすぐ、大玄関前に椿がずらり。後西天皇の御殿の休憩所を移築したと言われる大玄関。
この日咲いていた椿一覧だと思われますが、しっかりと品種名まで書かれているのが嬉しい心遣い。30種とも100種以上とも言われるほどの椿が咲くという霊鑑寺、日光椿はまだ開花前でした。
中門を潜り、書院と池泉鑑賞式(ちせんかんしょうしき)庭園と呼ばれる庭園の鑑賞へ。枯れていると聞いていた池は自然に溜まった水なんだろうなぁ…という感じの少し汚い状態…。
この階段を上がった所に本堂があり、御本尊の如意輪観音様が祀られています。本堂前ではガイドの方による説明が行われており、この本堂も江戸幕府十一代将軍・徳川家斉が寄進したもので京都市指定文化財指定とのこと。「如意寺から如意輪観音と霊鏡を祀ったことから霊鑑寺と名付けられました(…中略…)この辺りから屈んで見てみてください、ちょっとだけ御本尊の鑑が見えるかと思います」との説明を伺ったのですが、私の位置からは見えず…他の人が移動した後、新ためて屈んで見たのですが、よくわかりませんでした。
如意寺といえば、不動堂の前の石柱にも「如意不動尊」と彫られていました。不動堂の不動明王も如意寺から一緒に移って来たのでしょう。
そのまま拝観ルートに従って階段を上がると、土蔵と天満宮と、祀られている方がわからない小さなお社。
天満宮社の前には硯にしては大きいなぁ…と思ってしまう、布袋様の硯が足元に。
庭園のルートは、天満宮とは反対側に続きます。
霊鑑寺の庭園の椿にはしっかりと品種名が掛けられているものが多く、わかりやすくなっています。お庭には万両の赤も。
途中には毛氈の敷かれた床几も。
暖冬の影響なのか早咲き・遅咲きの品種の関係なのかはわかりませんが、2月中旬でも咲いていない木は全く花を付けておらず。
ルートに従い階段を降りた先にもまだ椿が続きます。
椿といえば苔と花が落ちた椿の写真が多いよね…と思い、そこそこ綺麗な状態の椿を探しましたが、流石に撮りやすい場所に落ちているとばかりは限りませんね。苔の上を歩く訳にも行かず、手を伸ばして撮影してみたり…しましたが、上手く行かず。
あっ!と思って近づいて見たら裏返っていたりとか。
花手水の様に花が入れられた…蹲でしょうか?自然な感じではないですが、椿の有効活用です。
階段下の方の土蔵前。こちらにも床几が用意されていました。瓦を生かした活け方…なるほど!と思わされる技を教えて頂いた気がします。
そのまま拝観ルートを進み回廊を潜ると、書院の拝観の入り口に辿り着きます。
霊鑑寺 書院〜奥書院
書院〜奥書院は、もちろん撮影禁止。中ではガイドの方が説明をしてくださいました。尼門跡だからでしょうか?寺宝も御所人形やカルタなど、可愛らしいものが多い印象を受けました。書院自体も後西天皇の院御所の御殿を移築した建物ということで、なかなか貴重な建物、京都市の指定文化財指定です。
円山応挙の襖絵が囲む応挙の間、仙人が描かれた仙人の間、下段・上段の間を見たあと、奥書院へ。奥書院の入り口には「紅霞亭」の額が掲げられていました。奥書院の天井は縹色に龍と鳳凰、鷹狩、紅葉狩り、滝の障壁画に囲まれた奥書院。この天井の縹色をずっと維持して来たのか…と思いきや、やはり近年修復されたものだそう。釘隠しは兎を正面から見た姿。なかなか丸々とした兎の釘隠し。ネット上で探しても霊鑑寺の釘隠しは載っていませんでしたが、飛騨高山の陣屋の釘隠しによく似ているのではないでしょうか?
釘隠しに兎が用いられた理由は御所から見て「卯」の方向にあるから…という話でしたが、洛陽十二支妙見巡りの卯である理由と一緒だと思うと納得のいく理由です。
ということで特別拝観を終了し、御朱印帳の受け取り。満開とまでは言えないものの、やはり見事な紅梅。実は紅梅の下には「なみちゃん」というワンちゃんが来る人来る人に撫でられたりカメラを向けられたりと大忙しでした。
霊鑑寺で頂いた御朱印。
伺ったこの日、用意されていた御朱印は直書き2種類と書置き2種類の計4種類。直書きは御住職が御対応されていました。お一人で書いていらっしゃるようだったので、直書きは1種類と書置き2種類、そして一番の目的だった洛陽十二支妙見巡りの御朱印を頂いて参りました。間紙(挟紙)まで椿模様。
尼寺第八番となっていますが、2020年3月現在、尼寺めぐりを紹介している寂光寺の公式サイトの霊場一覧からは霊鑑寺の名前は消えているため、霊場として活動されているのかどうかは不明です。御朱印を書いておられた御住職と思われる方は男性でしたので、元々は尼寺だったとしても尼寺巡礼から抜けられるのは致し方ないのかもしれません。
襖に描かれた狩野永徳の鷹狩図と縹色(はなだいろ)の天井を奥書院から切り取ったかのような御朱印。縹色に金墨で書かれた御朱印、実際はもっと明るい色ですがスキャナーの関係か上手く色が出ませんでした。縹色は別名露草色(つゆくさいろ)とも呼ばれる色、といえば、何となくでもその鮮やかさが伝わるでしょうか?
2種類とも奥書院の公開に合わせた御朱印だというのがよくわかります。
今回伺った最大の目的、洛陽十二支妙見巡りの御朱印。特別拝観中だったので御朱印帳を渡した時に「あ。」と言われてしまいましたが、無事に頂くことができました。
2020年は京の冬の旅非公開文化財特別公開、春の特別公開と立て続けに開門されていた霊鑑寺。
霊鑑寺の山門が開くのは紅葉シーズンまでお預けかもしれませんが、椿の季節とはまた異なる彩で出迎えてくれることでしょう。
そんな霊鑑寺、実は山門と山門前の紅葉が見事なまでの景色を生み出す安楽寺のお隣と言っても過言ではない立地。安楽寺の山門が開かれるタイミングも非常に限られていますが、ぜひ一緒に参拝して欲しいお寺です。
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