・十種神宝(とくさかんだから)を祀る神社。
・可愛い千代紙で祈願をする、叶雛。
・並ばず試せる、重軽石
伏見神宝神社 概要
名称 | 伏見神宝神社 (ふしみかんだからじんじゃ) |
創建 | 平安初期(詳細不明) |
主祭神 | 天照大御神、稲荷大神、十種神宝(とくさかんだから) | ||
境内社/摂社・末社 | 龍頭社、布留社、底津岩戸社、霊社 | ||
所在地 | 京都府京都市伏見区深草笹山町15 | ||
最寄りの公共交通機関 | JR伏見稲荷駅 → 徒歩15分 京阪電鉄稲荷駅 → 徒歩18分 |
狛龍が守る、伏見神宝神社(ふしみかんだからじんじゃ)
伏見稲荷大社がある、稲荷山。
東山三十六峰の最南端にあたる稲荷山には、伏見稲荷大社の他にもいくつかの別の神社があります。その中の一つ、伏見神宝神社(ふしみかんだからじんじゃ)。奥の院の先の千本鳥居を途中に看板が立っていて、そこから階段→山道を数分登った所にあります。
千本鳥居が途切れた所の看板を見逃さずに。
伏見稲荷大社の参道を奥社奉拝所(奥の院)へ向かい、奥社奉拝所(奥の院)から熊鷹社へ向かう千本鳥居の途中の根上り松の反対側の階段の下に伏見神宝神社への看板が立っています。千本鳥居が数メートルだけ途切れ、山肌に色々な看板が一箇所に立っているのでわかりやすいと思います。
看板に徒歩2分と書かれている通り、この階段を上がると伏見神宝神社へはすぐにたどり着くのですが、入り口の階段の奥は短い距離ながらも踏み固められた急勾配の山道です。急な坂道ではありますが、登り始めるとすぐに、千本鳥居の喧騒から切り離されたかのような静けさに包まれます。
※千本鳥居から伏見神寶神社へ向かう道。
久々の参拝でもやっぱりこの山道は歩き慣れません。
既に疲れてる。 pic.twitter.com/uz2EduObjH
— 寺女【京都】 (@Love_kyoto_life) May 14, 2022
伏見神宝神社へお詣り
山道を登り切ると、そこに伏見神宝神社があります。鳥居の前に、手水舎と石に書かれた由緒略記があります。そしてキラキラした石の狛犬さんたちが。以前は居なかったこの狛犬さんたち、最近登場したようです。
何度訪れても貸切になることがないのはやはりここが稲荷山の中だからだと思いますが、タイミングが良いのか混んでいる印象はありません。以前は日本人しか見かけなかった伏見神宝神社も外国のグループの方を多く見かけるようになって来ましたが、それでも稲荷大社奥社奉拝所(奥の院)辺りまで見かけるような、団体客が旗を持ったガイドの人に付いてゾロゾロ…という光景とは出会ったことがないので、ゆっくりとお詣り出来る神社です。
伏見神宝神社 本殿
鳥居の正面に建つ、本殿。こちらで祀られているのは、天照大御神様と稲荷大神様です。伏見神宝神社は平安時代の創建ながら、昭和に入り再建された神社なので、比較的重厚さを感じません。そのためでしょうか?こちらの本殿、お詣りの為に正面に立つ度に毎回南国ムードを感じます。そんな本殿の手前では、天龍・地龍の阿吽の双龍がお出迎えです。
そんなに大きな狛龍さんたちではないので迫力はありませんが、優しさを感じる狛龍さんたちです。
伏見神宝神社の十種神宝
2018年6月、久々に訪れた伏見神宝神社の本殿前には、以前はなかった京都市による駒札が設置されていました。駒札の中で一番押さえて欲しいポイントとしてあげるならば、この一文です。
社名の「神宝」は神授十種神宝(とくさかんだから)に由来する。
出典:京都市駒札「伏見神宝神社」
この神授十種神宝(とくさかんだから/とくさのかんだから)、全て解明されているわけではなく、各地で伝書が残っているようですが、伏見神宝神社では、十種神宝にあやかったお守りが扱われています。
境内入り口と本殿前に置かれた、叶雛
境内に入ってすぐの場所や拝所の前に、千代紙で作られた神衣(かむみそ)がいっぱいかけられています。この神衣、伏見神宝神社の叶雛(かなえびな)です。この叶雛、境内に優しい色を添えていて、その柄を見ているだけでも微笑んでしまうような、そんな印象を受けます。
伏見神宝神社の叶雛は、上下に開くことができる神衣の中に願いごとを記入するので、願い事も名前も他の人に見られることがありません。また、心願成就(しんがんじょうじゅ)・学業成就(がくぎょうじょうじゅ)など漢字4文字で表した見本もあるので、そこから選ぶこともできます。
ちなみに私、神衣の中に今後の生き方についてのお願いしたため、叶ったかどうかがわかるのは往生の際になります。
伏見神宝神社 境内社
伏見神宝神社では、本殿を囲む様に境内社が建っています。本殿の左横には竜頭大明神のお社。境内の古い方の由緒には「竜頭大権現は山王大権現とも稱える(多分、となえる)」と書かれていました。
宇多乃君かぐや姫の愛染碑とその横のたけのこ石。いきなりかぐや姫が現れた気がしますが、この伏見神宝神社のあるあたりは「竹の下の道」もあるように、竹取物語のゆかりの地とも言われています。そのためこちらで祀られているのでしょう。
こちらは非常にわかりやすいのですが、その他の摂末社が少しわかりにくいような気がします。というのも、扁額や石碑に書かれているのが、頂いた案内に記載されている名前と違うからです。
八大龍王大神と白龍大神と…もう一方(失念しました)、お名前が書かれています。
こちらの扁額は正宮姫大明神…とお読みすれば良いのでしょうか? お社の手前に井戸と釣瓶があります。伏見神宝神社の布留社は大和(石上神社)の布留社と地下水脈で繋がっていて、この地に白い布が流れ着いたという話があるようです。もしこの井戸が大和(石上神社)の布留社と地下水脈で繋がっているものだとしたら、正宮姫大明神という扁額が掲げられたこちらのお社が布留社ということになります。
そのお社の前に、おもかる石が置かれています。こちらのおもかる石は伏見稲荷大社の奥社礼拝所横のおもかる石とは違い、ほとんど並ぶことなく占うことが出来ます。ちなみに、とても重かったです、残念…。
伏見神宝神社 御朱印
伏見神宝神社でいただいた御朱印。「由緒書きなどがありましたらいただけますか?」とお願いしたところ、手作りのA4両面印刷の案内を頂きました(平成28年の参拝時)。ご案内の題名通り、由緒から信仰のこころ、御社名の縁起、摂末社の説明、授与品、歴史的風景まで案内された内容になっています。
久々の参拝時に改めて御朱印を拝受してまいりました。龍のスタンプのインクの色が変わっていましたが、大きな変化はなし。
伏見神宝神社からも稲荷山山頂へ行けます。
※2020年、コメント欄にて亥出没の注意喚起がされているとのお話を頂きました。一人歩きは危険です、ご注意ください。
伏見神宝神社から更に奥に進む、竹の下道。伏見神宝神社から見える範囲は手入れの行き届いた綺麗な竹林です。千本鳥居へ戻らず、竹の下道を進んでも稲荷山の山頂を目指せるためにそのまま竹林を進まれる方も多いのですが、途中、行場の横を通り、その後山の中を歩きます。
私が竹の下道から稲荷山の山頂に向かい歩いたのは2016年が初めてでしたが、人とすれ違うこともなく、案内板も少なく、少し不安になりながら歩いた記憶があります。時間が気になりスマホを取り出した所、電波が圏外だった場所もありました(改善されて居る可能性はあります)。最終的には上之社の直前で、通常のお山めぐりのルートと合流します。
竹の下道から稲荷山の山頂へは、辿り着けるなら…と気楽に考えず、履きなれた靴で時間的に余裕があり、お天気に恵まれた時に向かうことをおすすめします。
ということで、私は元来た道を戻り、再度千本鳥居から上之社へ。上から見ると伏見神宝神社への道が急勾配であることがよくわかります。千本鳥居を上から見られるという珍しい場所でもあります。
出向くたびに何らかの新しいものが増えているような、ずっと見落として来ていたのか…その謎を解くために再び訪れ、また新しいものと出会う、そしてまた伺うことになる。そんな伏見神寶神社なのです。
コメント
12月の日曜日の昼頃、伏見稲荷のお社は観光客でいっぱい。千本鳥居の道も人でいっぱい。人が少ない山道に迷い混んだら、竹林が静寂に包まれていました。程なく神社が現れたのが神宝神社でした。初めて尽くしで何だかわからないまま先にいくと鎖が巻いた扉があり、そこには「いのししが出るから、……」の文字。扉を開けて進むと山道で誰一人いない。流石に引き返し、進むと大勢の観光客と合流しました。
紙一重の静寂と観光客。そして紛れもなくいのししが住んでいる。この対比の妙に驚きながら、山を降りて来ました。
はじめまして。
近年、全国的に動物が住宅街に現れているというニュースを見かけますが、京都も例外ではありません。
2017年頃の鞍馬山では熊が目撃されていたようで鞍馬寺山門で注意喚起がなされていました。
また、伏見稲荷がある稲荷山は東山三十六峰の一番南の36番目のお山になるのですが、3つ隣の33番目の泉涌寺がある泉山では数年前から亥への注意喚起がなされていました。
東福寺のある34番目の恵日山へは稲荷山から立て札が建てられていますが、1人での山歩きは避けた方が良さそうですね。
本文内に注意喚起情報を追記させていただきました。
貴重なお話、ありがとうございました。