即成院 概要
名称 | 即成院(そくじょういん) | 山号 | 光明山 |
御本尊 | 阿弥陀如来像 | 脇侍/安置仏 | 観音菩薩像 勢至菩薩像 他 |
開基 | 橘俊綱 | 宗派 | 真言宗泉涌寺派 |
札所 | 泉山七福神巡り 1番(福禄寿) 巡礼通称寺 |
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所在地 | 京都府京都市東山区泉涌寺山内町28 | ||
最寄りの公共交通機関 | 京都市営バス泉涌寺道下車→徒歩7分 京阪電車 東福寺駅下車→徒歩10〜15分 |
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拝観時間等 | 9:00〜17:00 | 特別拝観 | 500円 |
・那須与一公の墓参で、願いが的へ!?
・和紙を使った『期間限定御朱印』の豊富さ。
御寺泉涌寺塔頭 即成院
即成院(そくじょういん)は、御寺泉涌寺(みてらせんにゅうじ)総門の横にあります。
元々は橘俊綱の山荘に持仏堂として建てられ即成就院(そくじょうじゅいん)、伏見寺と呼ばれて居たものが、豊臣秀吉公の伏見城築城に伴い大亀谷に移転、明治時代の廃仏毀釈により廃寺となった、という波乱のお寺と言っても間違いないお寺です。
※京都市設置のこま札 読めませんでした…。
こちらの泉涌寺の山門脇に移されたのは、明治35年。写真の通り、本当に総門の横です。
総門の外にありますが、即成院は泉涌寺塔頭の一つで、毎年成人の日に行われる泉山七福神巡りでは、一番として福禄寿を祀っているお寺でもあります。
山門の正面には、導延命地蔵菩薩様のお堂があるのですが。
導延命地蔵菩薩様のお堂は提灯が外されていることもあり、よくわからない時があります。地蔵菩薩様がご不在、ということでしょうか?
即成院の門を潜って、導延命地蔵菩薩様の前から右手を向くと、本堂が見えます。この日は植木屋さん(庭師さん?)が竹を切り出していました。
導延命地蔵菩薩様のお堂と奥の本殿をチラリと見て引き返す方を見かけますが、「絶対に引き返しては勿体ないですよ!本堂が素晴らしいですから!」と声をかけたくなります。
即成院は本堂に行くまでの間も面白い
まずは手水舎。常に水が流されている手水舎とは異なり、押してからしばらくの間水が流れるタイプです。その手水舎の横には、ガチャガチャタイプの紙石けんが200円で販売されています。
手水舎上の看板には「仏さまに手を合わせる心と 手を洗うことで心身清浄となり」と書かれています。確かに手を洗う時も手を合わせる恰好になります。なるほど、と納得してしまいました。
床几に腰掛けて周囲を眺めると、お不動さんなどが佇まれています。長閑な雰囲気の中気になったのが、狛犬。柴犬のようなリアルな犬が守っていました。こんなリアルな狛犬は初めて、戌年に良さそうです!
即成院 本堂
即成院の本堂。授与品や御朱印、内陣拝観などは正面の入り口ではなく、左側から入ります。
入ってすぐに、「特別拝観はご覧になられますか?」と聞かれました。即成院では特別拝観として内陣に立ち入り、御本尊の阿弥陀如来様と25体の菩薩様を間近で見学することが出来ます。また、石造宝塔の那須与一のお墓への参拝出来ます。(パンフレット付き/500円)。
2018年秋、再訪
新善光寺と戒光寺の特別拝観に伺った流れで、泉涌寺塔頭の参拝をしたこの日、即成院へも久々に伺いました。
約10ヶ月ぶりの即成院。特徴的な手水社は工事中、更に本堂前に何かモニュメントかオブジェかわからないものができていました。モノリスのようで、なかなか衝撃的。現地にも公式サイトにも説明がなかった為、建てられた経緯は不明ですが、建てられた直後だったようで芝生を踏まないように…という注意書きと紅白幕がありました。
この日は本堂を前からお詣りさせて頂いて終了したのですが、境内のリアル狛犬さんの前の紅葉が見事でした。
即成院 特別拝観 内陣へ
本堂で阿弥陀如来様の前に座り、大きなおりんを一度鳴らしてご挨拶をしてから、案内に沿って内陣に伺います。
平安時代に造られた御本尊の阿弥陀如来と二十五菩薩全てが国の重要文化財であり、多くの仏さまが手に楽器をお持ちのところから、『ほとけさまのオーケストラ』と呼ばれる清浄で特別な空間です。
出典:即成院 公式サイト-TOPページ
特別拝観では、タイミングが合えば、お寺の方から歴史や説明を伺うことが出来ます。阿弥陀如来の左右に位置する観音菩薩像と勢至菩薩像が大和座りをされている理由や仏師 定朝の話、那須与一の話まで、圧倒される情報量でした。
各菩薩様の名前や作られた時期なども記されているので、一つずつ確認しながら見ることが出来ます。四段のひな壇に並べられた仏像の中でも、一番下の段の仏像になると、1m程の距離まで近づくことになるのでしょうか?本当に至近距離で拝見出来ます。それぞれが違う楽器を持ち、笑顔なのが非常に印象的です。即成院にお詣りするたび思い出すのは、スタジオジブリのかぐや姫。かぐや姫のワンシーンは、即成院の仏像からヒントを得て書かれたのではないか?と思わずにいられません。
拝観には何分間という時間制限がないので、じっくりゆっくり、近寄ったり座ったりしながら眺めることが出来ます。(言うまでもないですが、他の参拝者の方への配慮はお忘れなく!)
新しいものを取り入れ、色々な形でその教えを伝え続けている、即成院。Googleのストリートビューでは、御本尊の阿弥陀如来様から見た堂内の風景を見ることが出来ます。
即成院の阿弥陀如来様からの視点はこちら↓
初めて即成院にお伺いした時御住職と少しお話をさせていただけたのですが、新しいことを取り入れられているんですね、と申し上げたところ、
「昨今、他の人の気持ちを考えるとか他の人の視点に立って考える人が減って来ている様に思います。他の人の視点に立つことの大切さを伝えようと思って取り入れました」
というようなことをおっしゃっていました(少し記憶が曖昧ですが概略として)。
内陣の空気をじっくり堪能した後、寄せ木作りの説明を見たり、破顔で笑われている福禄寿様にご挨拶をして、那須与一公のお墓へ向かいます。
那須与一公のお墓
那須与一公のお墓へは、本堂から向かいます。今は周囲を囲って居た建物は取り壊され、その大きさをしっかりと見ることができるようになっています。
何故こんな所で那須与一?と思わなくもないのですが、御本尊の阿弥陀如来様に武運を祈願したとか、阿弥陀如来様の前で亡くなったと言われているそうです。那須与一公に関して、平家物語の「よっぴいてひょうどはなつ」程度の知識しかありませんが、石塔の大きさにビックリ。
即成院の門や手水舎などに書かれていた、「願いが的へ」は、この那須与一公にあやかるということなのでしょう。以前は扇だった絵馬ですが、増えたのか変わったのか、今回は的になったものが多く掛けられていました。
即成院 御朱印と限定御朱印
即成院では、豪華な期間限定御朱印が用意されています。即成院の入り口では、期間外のものも含め、即成院で拝受することができる多くの限定御朱印を見ることが出来ました。
※通常の御朱印と特別拝観のパンフレット/絵はがき(100円)
即成院の限定御朱印は書き置きのもので、書かれた紙の色を選ぶことが出来ます。私が頂いた限定御朱印は見開きで千円でした。(通常の御朱印は300円で頂けます。)
公式サイトでは、特別和紙御朱印授与の案内が記載されています。即成院の御朱印は常に新しいものが用意されているので、お詣りの時にどんな御朱印が扱われているかを確認してみては如何でしょう?
2020年10月22日再訪
戒光寺と悲田院の特別公開の後に立ち寄った、即成院。相変わらず素敵な獅子吼菩薩像を堪能し、御朱印を頂いて帰ってきました。2020年はコロナ禍の影響で授与期間が終わっている御朱印もいただくことができました。
今回頂いてきたのは、お正月開けの泉山七福神巡りの際に用意されていた限定御朱印。大判見開きサイズです。
※御朱印は変更・販売終了されて居る可能性があります。
googleのストリートビューや限定御朱印、本堂内陣での拝観など、新しいことを多く取り入れている即成院。ネットで見るだけではなく、本堂にお伺いしないのは、本当に勿体ないと思うのです。
毎回お詣りをする度に、私の往生の際には皆様是非よろしくお願いいたします、と思わずに居られません。
御寺泉涌寺塔頭を巡るだけでも、一日かかってしまいそうです。
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