・山門のある賑やかな四条通りとは対照的な静かな境内。
・山門の奥には大きな地蔵菩薩と千手観音菩薩。
仲源寺(目疾(めやみ)地蔵) 概要
名称/通称 | 仲源寺(ちゅうげんじ) /めやみ(目疾)地蔵 |
山号 | 寿福山 |
御本尊 | 地蔵菩薩 | 創建 | 伝・平安中期 (治安2(1022)年) |
開山 | 伝・定朝 | 宗派 | 浄土宗 |
札所 | 洛陽三十三所観音霊場 第十六番札所 (千手観音) 巡礼通称寺 |
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所在地 | 京都府京都市東山区祇園町南側585-1 | ||
最寄りの公共交通機関 | 京都市営バス 四条京阪前 → 徒歩約1分 京阪電車 祇園四条駅 → 徒歩約1分 阪急電鉄 河原町四条駅 → 徒歩約5分 |
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拝観時間等 | 6:00~17:00 | 拝観料(通常) | 無料 |
仲源寺 賑やかな四条通沿に立つ山門
京都市東山区にある、仲源寺。仲源寺は京都を代表する観光地の一つ、祇園の中でも一際賑やかな、四条通沿いに山門のある小さなお寺。周囲の賑わいに気を取られていると門前を通り過ぎそうになります。
山門が四条通沿いということで人が途切れるタイミングが少なく、山門左手にあった石碑の写真は撮れず…右手の駒札は近づいて撮影したので人が入り込むことはありませんでした。
駒札に書かれている、「仏師 定朝」の文字。定朝と言えば平等院鳳凰堂の阿弥陀如来像を作り「定朝様」の流れを作り出した最初の人。定朝と関わりがあるというだけで、仲源寺の仏像への期待値が相当高くなります。
仲源寺 境内の様子
山門を潜る前から見えていた正面の本堂。北向きに建てられた本堂です。山門からすぐの所には水子供養の水掛地蔵が祀られています。洛陽三十三所観音巡礼の札所本尊にあたる重要文化財の千手観音像は本堂の手前右側、少し奥まった所にいらっしゃいます。
まずは御本尊に御目通り。山門から見た時はその大きな提灯に目が行ってしまっていましたが、本堂のその奥には大きな地蔵菩薩坐像が鎮座していました。本堂前に立ってようやくわかる、その大きさ。本堂前の戸は中を覗ける様に一部ガラスに開けられているのですが、思わず覗き込むほどの大きさです。
仲源寺略縁起』によれば、平安の昔、仏師の定朝が「末代衆生済度」の為、自ら護持していた聖徳太子作の地蔵菩薩を胎内に込め、三十八ケ月を経て丈六の地蔵菩薩を造りあげました。その丈六の地蔵菩薩を本尊として祀ったのが、仲源寺の開基となります。
出典:洛陽三十三所観音巡礼 仲源寺
丈六の坐像となればその大きさは約2.4mということになります。お堂の奥の方にいらっしゃる為に細部まで見ることはできませんが、それでも大きさはよくわかります。
仏像の像高の一規準で、立像の高さが1丈6尺(約4.8メートル)ある仏像のこと。丈六という像高の規準は、経典に仏(釈迦(しゃか))の背の高さが普通のインド人の身長(4肘(ちゅう))の2倍(8肘)とあるのに基づき、中国で唐大尺(1尺=約30センチメートル)の2尺を1肘と換算して定めたものである。坐像(ざぞう)の場合は、立てば丈六ということで、半分の8尺の像を丈六像とよぶ。
出典:コトバンク-丈六像(じょうろくぞう)–
柔和で優雅な定朝(定朝様)にしては少し厳しめなお顔な地蔵菩薩像のような気がしますが、こちらの地蔵菩薩像、様々な逸話があります。
鎌倉時代、四条橋の畔にあって鴨川の氾濫を救った霊験から、雨止み(あめやみ)地蔵とよばれていた。
また名前の由来は八坂神社、知恩院へのお詣りの人が、にわか雨にあって雨やどりをしたことからつけられたという説もあるが、当時は雨宿りをするのはこの寺以外にはなかったのだと推察される。地蔵尊の前に立ってご尊顔を拝していると、右眼が涙に濡れたように光って赤く見えることから、眼病に悩む人の身代わりとなられたという伝説が生まれ、目疾(めやみ)地蔵尊の名が生まれたという説もある。
出典:八坂神社参道 祇園商店街振興組合 仲源寺
本堂の右横には大黒天・大日如来・妙見大菩薩が東を向いて鎮座しています。こんなところで妙見様に会うとは…と思いながらお詣り。仲源寺の大黒天は多くの人の信仰を集めているそう。
この大黒天の横に観音堂があり、千手観音坐像が祀られています。こちらの千手観音坐像も非常に大きなもの、丈六サイズの観音様です。
本堂前には「洛陽三十三所観音霊場」第十六番の千手観音座像をお祀りしています。像高は二四八センチメートル、平安後期の春日仏師の作といわれ、国の重要文化財であります。
出典:八坂神社参道 祇園商店街振興組合 仲源寺
観音堂は何となく気が引けたので、撮影さえせずにお詣り。なかなかの近さで見ることができます。重要文化財の仏像がポンと祀られているのも京都らしさの一つなのかもしれません。
多くの人が通る祇園の四条通沿いで、まさかこんな大きな仏像に会えるとは思っていませんでした。それも2体も。まさかの出会いに口を開けて眺め入ってしまった、仲源寺でした。
仲源寺でいただいた御朱印
仲源寺の授与所は本堂の左側にあります。現地の指示に従い授与所前に用意されていた呼び鈴を押し、待つこと数分…諦め掛けた頃に、ゆっくりとした足取りで妙齢の女性が出てきて対応してくださいました。今回いただいたのは、洛陽三十三所観音巡礼の御朱印。御本尊の目疾地蔵尊の御朱印はまたの機会に。
洛陽三十三所観音巡礼専用の御朱印によると、「仲違いになった男女の仲を取り持つ御利益がある」とのこと。こんな御利益が有名になったら、境内に人が溢れそうだ…と思う、仲源寺でした。
復縁を願って参拝される方は、仲違いした要因との縁を切ってから参拝されるとより御利益をいただけるかもしれません。
切ることも結ぶこともできるのは、こちら。
大きめな仏像が好きな方には、東福寺塔頭の同聚院も。こちらの不動明王は定朝のお父様、康尚作と言われています。
丈六の立像をご希望の方は泉涌寺塔頭の戒光寺へ。運慶・湛慶親子作の丈六釈迦如来立像にお目にかかれます。
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